西京極大門ハイツのスゴイ取り組み マンションは、まちづくりだ!高齢者対策編

マンションを“まちづくり”として捉え、経営面でもコミュニティ面でも、画期的な視点で取り組んできた西京極大門ハイツ。

居住者の高齢者対策についても、やはり“まちづくり”の発想が盛り込まれています。

子育て世代が住みたくなるマンションづくりが最大の高齢者対策!

高齢化が進む地方では、若い子育て世代をさまざまな面で優遇して招致しているケースが数多く見られます。地域活性化には、若い世代のパワーが欠かせません。そしてそれは、マンションでも同じことがいえます。

築37年の西京極大門ハイツでもまた、居住者の高齢化が進んでいます。そしてその解決策は、「子育て世代が住みやすいマンションづくりなのだ」と、西京極大門ハイツの佐藤理事はいいます。

「コミュニティ活性化には、やっぱり若い世代が必要なんですよ。高齢化率が上がると活気のないコミュニティになってしまいます。言ってみれば、子育て世代が住みたくなるマンションづくりを行うことが、最大の高齢者対策なんです。それには、現役世代が入居したくなるような付加価値や建物・設備のグレードアップが必要です」

西京極大門ハイツでは、現役世代が「このマンションに住みたい」と思えるような魅力づくりは、建物のメンテナンス、最新設備の導入、省エネの推進、年間イベントを通じたコミュニティの活性化など、マンションとしてやるべき課題に積極的に取り組んだことにより実現させてきました。

西京極大門ハイツのこれまでの取り組み
西京極大門ハイツのスゴイ取り組み マンションは、まちづくりだ!経営学編

大門ハイツのすぐ向かいには保育所(写真中央)もあり、子育て世代には魅力的な立地です。

子育て世帯を大切に!マンション全体が子育てを応援する

大門ハイツには、子育て世帯を大切にする仕組みが数多くあります。コミュニティホールにあるカンガルー文庫もそのひとつ。

絵本の貸し出しと親の交流を支援するために設けられたカンガルー文庫には、和室と洋室があり、近隣のお母さんと子どもが集まって、おしゃべりをしたり絵本を借りたりできます。

カンガルー文庫は、小さいお子さんを安心して遊ばせながら、ママたちにとっては、情報交換や交流の場となるフリースペースがあるという貴重な場所。マンション全体で子育て支援対策を行う姿勢は、これからのマンションに必要とされる役割ではないでしょうか。

日曜喫茶の様子。安心して子ども達を遊ばせながら、大人たちも交流ができます。

コミュニティホールにあるカンガルー文庫。絵本の貸し出しや子育てママの交流の場となっています。

日曜喫茶、季節のイベントを通じて、世代を超えた交流の場づくり

以前の記事「コミュニティ編」でもご紹介した通り、西京極大門ハイツでは、毎週開催される日曜喫茶や、季節ごとのイベントなど、世代を超えた居住者の交流の場が提供されています。

餅つきの様子。一階のエントランスホールが、ついたお餅をいただく場所に!一緒につくったお餅を食べることにより、お喋りも弾みます。

こうしたイベントには、居住者が外孫を招いたり親御さんを招いたりするだけでなく、近隣にお住まいのお子さん連れも数多くいらっしゃるそうです。そんな賑わいに誘われて、お部屋の外へ出てくるお一人暮らしのシニアの方もいらっしゃるのだとか。

佐藤理事によると、「季節のイベント開催は意図的にやっているんですよ。たとえば家族と関わりたくないっていう気むずかしいシニアの方にも、みんながイベントにやってきて、家族ってこんなに楽しいんだよって羨ましがらせようとね(笑)」というのは冗談にしても、子どもや孫がイベントごとにマンションにやってくる、そのきっかけづくりには最高の機会となっています。

「マンション内に閉じこもり老人をつくらないためには、こちらから無理に誘って外へ連れ出すのではなく、コミュニケーションのある状態で自ら外へ出てきてもらうのが一番なんです。楽しければ、みんな参加しますからね。そこの部分は、かなり意識的にやっています」

あたりまえのことが、あたりまえに実践できているのがいいですね。そのせいか、こちらのマンションでは居住者のシニアの方も、イキイキしていらっしゃいます。

写真左から、日下部さん、大曽さん、西出さん。中央の大曽さんは、なんと92歳!90歳までは、コミュニティホールでヨガの先生もやっていたほどにお元気です。また、NPOの会合にも出かける行動的なお洒落さん。近所でも有名な西京極大門ハイツは、どこへ行っても「お宅のマンションはいつもきれいで、ちゃんとしている」と褒められるそうです。「私達の、自慢のマンションです」とにっこり

高齢者の見守り、異変をキャッチする仕組みづくり

もちろん、マンション全体での高齢者対策も怠りません。0歳から94歳までの居住者が住む西京極大門ハイツでは、38年前に購入した世代が60〜70歳前後。高齢者の見守りについても、さりげなく、それでいて確実な体制が整っています。

「高齢者の見守りは、異変をキャッチできる仕組みをつくらないといけません。うちでは、マンションからのお知らせを各戸へ配布する際に、わざとちょっと新聞受けの外に出しておくんです。

朝10時・夕4時の2回、管理員による巡回がありますが、その際に、お知らせをちゃんと受け取っているか、そのままになっていないか、などをチェックします」

日々のさりげない巡回での見守り体制が功を奏して、5年間で異変発見は4件。緊急搬送などに役立ったそうです。

こうしたきめ細かな見守り体制を見習って取り入れていけば、どこのマンションも、さまざまな面でシニアにやさしいマンションになるはずです。

シニアにやさしいマンションは、結局みんなが暮らしやすい!

エレベーター内に取り付けられたAED。一階のエレベーターホールにも設置されている。

西京極大門ハイツでは、ハード面での高齢者対策にも長期的に取り組んできました。

たとえば、共用部の完全バリアフリー化。廊下や通路を滑りにくい素材に変更、全戸にIHクッキングヒーターが設置出来るように電気幹線容量のアップ、全戸ダブルディンプル鍵とテレビドアホン設置、エレベーターへのAED設置など。

こうした対策は、高齢者のみならず、結果的に居住者全員に安全で暮らしやすい環境をもたらすことになりました。

将来的には、シェアハウスや訪問介護ステーションの誘致も!

「いずれは高齢者の一人暮らしも増えてくるはずですから、一人暮らしの高齢居住者が住めるシェアハウスの設立、訪問介護ステーションを誘致するというプランも検討しています」と佐藤理事。

たとえば、敷地内にある集会所やコミュニティホールの一部を、高齢者のシェアハウスに変えれば、居住者は、所有する住戸の賃貸や売却など、さまざまな選択肢を選ぶことができます。

住み慣れた場所やコミュニティを離れることなく、マンション内でさまざまなチョイスを用意すること。それが今後の高齢化社会におけるマンションの役割になっていくかもしれません。


居住者の高齢化問題は、将来どこのマンションでも起こりうることです。長期的な視野を持って、マンション全体で支え合う仕組みづくりが必要となっていくことでしょう。

その点でも、「子育て世代が住みやすいマンションづくりが最大の高齢者対策」という西京極大門ハイツの取り組みは、大いに見習っていきたいモデルケースだと言えます。

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西京極大門ハイツ

京都駅からバスで10分ほどの住宅地にある西京極大門ハイツは、管理組合法人で自主管理を行う190戸のマンション。第一次オイルショックの1976年に建設され、完全自主管理に移行したのが1992年。以来、経営という視点で管理組合運営を行い、あらゆる面でよりよい暮らしの仕組みづくりに大胆に取り組んでいます。2011年には第9回 京都環境賞 特別賞(市民活動賞)を受賞。

2013/08/26

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