西京極大門ハイツのスゴイ取り組み マンションは、まちづくりだ!コミュニティ編

マンションをひとつの“まちづくり”と捉えて、積極的にコミュニティづくりにも取り組む西京極大門ハイツ。

大胆な発想と行動にあらゆる面で驚かされますが、子育て支援スペースを設ける! コミュニティカフェをつくる! ATMを誘致する! など、コミュニティづくりも“まちづくり”並みにスゴイです。

「マンションだから、できること」をやろうと思った

西京極大門ハイツのコミュニティ形成の取り組みは、他のマンションにはない視点と実行力があると伺っていますが、その点について理事長の佐藤さんはどうお考えなのでしょうか。

やわらかな関西弁でユーモア溢れる、理事長の佐藤さん。お話を伺っているうちに、まるで大門ハイツの市長さんのように見えてきました。

「まあ、20年ほど前に、我々はここを“終の棲家”にしないとしゃーないな、と思った訳ですよ(笑)。それで普通とは違った、変わったことをしよう、マンションに住んでいるからこそ戸建てにはできないことをしよう、と。“マンションだから、できない”ということをどんどんなくして、“マンションだから、できる”ことをやっていこうと思ったんですよ」

こうして西京極大門ハイツでは、集住のメリットをとことん追求した取り組みが行われていきました。

子どもや孫が里帰りしたときに泊まる部屋がないなら、ゲストルームをつくりましょう、と隣接地の物件を取得してゲストルームや会議室などの共有施設にするなど、その行動力も規模が違います。

コミュニティ委員会は、予算枠外で常に新しい発想を促す

管理組合のコミュニティ部門を担うのが、コミュニティ委員会です。設置されてから19年、さまざまな取り組みを行っています。

良好なコミュニティ形成はマンションにとっての資産、そう考える西京極大門ハイツでは、コミュニティ委員会にきちんと予算を与え、常に新しい内容を考えるように促しています。

まるで企業の研究・開発部門のような感じです。それだけマンションのコミュニティを重視している証なのです。

「これまでの日本なら、高齢者問題も地域で見守ってきたんですよ。それが現代になって、みんなが高齢者のことまで気に掛けている余裕がなくなってきた。だけど集住のマンションはね、その点まだまだ余力があると思うんです。

マンションには、管理費というかたちで皆からお金を集めて使うという仕組みづくりがあります。普通の戸建ての自治会で、毎月一万円も自治会費を支払ってるところなんてありませんよね。そこで管理組合から助成金をだして、コミュニティ活性化の施策を行っています」

コミュニティ委員会は年間平均100万円程度の事業費で、イベントの企画立案サポート、サークル活動の助成、イベント用品の管理・貸し出しを行っています。

「それにイベントは毎年同じ内容だと飽きるでしょう? みんなも期待しているし」という佐藤さんのいう通り、大門ハイツでは、季節のイベントが満載。

4月には、敷地内の桜の木の下で桜まつり。100人ほどの人が集まり、焼き肉パーティを開催するそうです。

8月の夏祭り、10月のオータムフェスタは炊きだし付きの防災訓練、12月の大門まつりはクリスマスと餅つきなど、季節ごとの楽しみがあります。これらイベントには、近所の人や居住者の外孫なども参加OK!

餅つきの様子

夏まつりの様子。四季のイベントを定期的に行う西京極大門ハイツ。敷地内にはいつも笑い声があふれている。

「こういう場で、酒を飲みながら、あーでもない、こーでもない、っていう会話がね、2〜3年後に実を結ぶんですよ(笑)」と佐藤さん。

ゲストルームやコミュニティホール

親子4人でも泊まれる広々としたゲストルーム

遊びにやってきた子どもや孫、親戚が宿泊するためのゲストルームは、敷地内に購入した建物にあります。元は、企業の持ち物だったビルを改造して、1階はガレージ、2階に100名を収容できるコミュニティホール。

カンガルー文庫の和室は、子どもを遊ばせるのに最適です。

3階には、子育てママさんが自主管理しているカンガルー文庫とゲストルーム2室と小会議室。一人一泊2,000円で、14畳と16畳の広い室内には、お子さん連れの4人家族も充分宿泊可能です。

「おはようさん」の声が聞こえる日曜朝のカフェでモーニングセット

敷地内にはもうひとつ二階建ての小さな集会所があり、1階では毎週日曜の朝に、近隣の人が集うコミュニティカフェが催されています。

コミュニティ委員会の傘下にある日曜喫茶運営グループが運営しており、毎週日曜日の朝8時30分から11時30分まで開催されます。コーヒーまたは紅茶とトースト、ゆで卵のセットメニューでなんと100円。

お孫さんを抱いたおばあちゃん、ご夫婦、近隣の人が集まる日曜日の朝

「当初はサロンみたいに居住者がくつろげる場として考えていたんですが、あまり利用者もなく、予算をかけて集会所をつくった手前(笑)、たくさんの人に利用してもらいたいじゃないですか。それで外部の人にも開放したんです。

100円玉握ってくれば利用できるという気軽さもあって、近所の戸建てやマンションの人、外孫がおじいちゃんおばあちゃんの所に訊ねてきて利用するなど、いろんな交流の場になっていますよ」

マンションの交流の場を居住者に限定しないで、外に開かれているという希有な例ですが、大門ハイツではこうした取り組みも、常に外部に向かって情報発信しています。

「まちづくりマスタープラン」でも、他の管理組合との情報公開・連携が定められており、外部との交流を通じて、よりよい場づくりを行っていこうという大門ハイツの姿勢がよくわかります。

郵便受けのネームプレートは、いわば190軒の街路案内板

管理組合では、異変や災害、火事や水漏れの場合に備えて、居住者名簿も管理しており、入居者には最初に説明して名簿の提出を義務づけています。

「プライバシーだのへったくれもないですよ(笑)。居住者名簿は、命に関わる必要なもんです。女性の場合は年齢を書いてくれない方もいますが(笑)、ほとんどの方が提出してくださっていますよ」と佐藤さん。

“まちづくり”で考えれば、名簿はまちに住む住民票登録のようなもの。また、集合ポストも組合が管理して、居住者の名字を表記しています。

「郵便受けのネームプレートは、いわば190軒の街路案内板みたいなもんですよ」とおっしゃる意味も頷けます。

マンションは住みやすく変えていくもの

西京極大門ハイツでは、バスや車が通る大通りに面した敷地内に、管理組合で取り引きしている銀行のATMを誘致したそうです。人通りのある場所だから、どちらにとっても有益とはいえ、なかなか普通にできる発想ではありません。

でもこれも、マンションという“まちづくり”ならば当たり前のことなのかも。将来はスーパーを誘致したいという佐藤さん。

「マンションはね、自分たちで住みやすい環境に変えていくものなんだと思いますよ。というか、変えていかないといけない。」
この言葉に力強いものを感じました。

携帯電話もなかった入居当時、赤い公衆電話が置いてあったエントランススペース。いまではコミュニティ委員会による季節のディスプレイを行うショーウインドウに変身しました。

何十年も暮らすうちに生活に必要なものは変わっていきます。それを時代に応じてどう変えていくのかは、住民の自主性によるものなのですね。


西京極大門ハイツのようにマンションのコミュニティづくりを、“まちづくり”と捉えると、やるべきことや、やりたいことが見えてくるような気がします。

西京極大門ハイツのしなやかな発想と行動力を見ていると、私達は、マンションは居住者のものであるべき、外部に開放しないものであるべき、という勝手な思い込みに囚われていた気がします。

私達に本当に必要なのは、実は発想を変えることなのかもしれません。

その他の記事はこちら
西京極大門ハイツのスゴイ取り組み マンションは、まちづくりだ!経営学編
西京極大門ハイツのスゴイ取り組み マンションは、まちづくりだ!高齢者対策編
西京極大門ハイツのスゴイ取り組み マンションは、まちづくりだ!省エネ編

西京極大門ハイツ

京都駅からバスで10分ほどの住宅地にある西京極大門ハイツは、管理組合法人で自主管理を行う190戸のマンション。第一次オイルショックの1976年に建設され、完全自主管理に移行したのが1992年。以来、経営という視点で管理組合運営を行い、あらゆる面でよりよい暮らしの仕組みづくりに大胆に取り組んでいます。2011年には第9回 京都環境賞 特別賞(市民活動賞)を受賞。

2013/08/21

↑ page top