ガーデニングやfacebook活用、理事全員がグループ制でコミュニティづくりを行うマンション

マンションの植栽をみんなで手入れするイベントや、管理組合のFacebookページから情報発信する、多彩なコミュニティ活動を活発に行っている大規模マンションがあります。大規模集住のメリットを活かしてさまざまな取り組みを行い、豊かなマンションコミュニティを育む、ブラウシア管理組合にお話を伺いました。

ブラウシア

千葉みなとエリアにある大規模マンション。2005年竣工、20階建て、4棟、438戸。約1,700平方メートルの広大な中庭のコミュニティガーデンでもある「ブラウシアガーデン」は、セキュリティも完備しており安心して子どもを遊ばせることができる。

ほかに、敷地内でBBQができるエリアやキッズルーム、シアタールーム、ゲストルームなど、共用施設が充実している。ハード面の充実だけでなく、管理組合による住民向け交流活動も活発。また、マンションの公式ホームページやFacebookページを開設し、積極的に外部への情報発信を行っている。

管理会社の問題点に取り組んできたことから、管理組合の結束力が高まる

2005年に竣工したブラウシアは、まもなく10周年を迎える大規模マンションです。10年近くコミュニティを育んできた歴史がありますが、当初5年間ほどは管理会社の問題点が多く、問題解決のために当時の理事たちが取り組んできたことから結束が強まったと言います。

施設担当理事の吉岡さん(写真左)、副理事長の高田さん(写真中央)、理事長の八柳さん(写真右)

八柳理事長「管理会社は、設備の不具合への対応や管理業務に問題があったのですが、決定的だったのは東日本大震災直後の対応の悪さですね。第6期の理事たちが、“これはおかしいぞ”と思い、管理会社変更のための行動を起こしました」

その後コンサルタントに相談するなどして、ブラウシア管理組合は管理会社の変更を実施しました。

高田副理事長「管理会社を変更したところで、何もかも管理会社に任せていてはいけないとみんなが気付いたことも大きかったですね。マンションのことも、自分のことだと思わなければといけないと目が覚めたんです」

牧野自治会長「最初からいい管理会社が入っていて管理問題や地震問題がなかったら、ここまで管理組合が発展していなかったと思いますね」

問題解決がコミュニティの結束力を高めるというのは、さまざまなマンションコミュニティを取材していてもそう感じます。悪いことをいいことに置き換えることができる強さがあれば、コミュニティ自体の強度が増すのでしょう。

高田副理事長「結局、管理会社に使われていてはダメなんですね。管理会社の使い方を私たちが考えるようにならないと。それはもう日々大変ですよ。毎週、管理会社と話していますから」

ブラウシアでは、専門知識を持った住民を活用する「プロフェッショナル制度」も運用しているそうです。ゼネコン勤務、IT系勤務、電気工事関係者などさまざまな職種の専門家が揃っていて、「何かあったら相談にのるよ」と言ってくれているOB理事メンバーも多くいます。10年の間に、歴代のOB理事の層も厚くなってきて、相談事にはアドバイザーとして関わってくれます。438戸という大規模マンションの集住のメリットは、人材面でも活かされていますね。

グループで詳細な議論を行い、その結果を理事会で決議して効率化

理事は、当初は1年で総入れ替えになる輪番制だったそうですが、仕事を継続できるために第8期から2年半数改選制(10人ずつ)にしました。また、管理会社を変更してから管理組合の仕事を洗い出して、管理業務を管轄する4つのグループと自治会運営グループの5つのグループを組織しました。

■ブラウシア管理組合組織図
・ 理事会運営グループ:理事会の全体運営を行う。
・ 設備運営グループ:設備維持向上を担当。
・ 生活運営グループ:生活改善活動を担当。
・ フレンドリークラブ:住民間の交流イベントなどを担当。
・ 自治会運営グループ:自治会運営を担当。

八柳理事長「5グループに担当業務を任せたことで、各グループが責任を持って詳細な議論を重ねてくれるようになりました。理事会ではグループから上がってきた結果について審議するだけでよく、業務の効率化が図れました」

また、2013年にマンションの基本理念を策定。基本理念を掲げているマンションもかなりめずらしいですが、基本理念は会社でいうと事業計画や経営ポリシーに該当するもの。管理組合としての理念やポリシーを掲げることで、みんながひとつの目的に向かって組織を運営していくことができるのだそうです。

「[理念]
ブラウシア管理組合は、強固なコミュニティをベースとし、終の棲家として充実したマンションライフを実現する」と掲げられ、この理念がすべての管理組合活動の拠り所となります。

理念を管理規約のトップにも組み込むことで、理事が交代するごとにその方向性や思いが変わることなく、進んでいくことができるようになったそうです。

八柳理事長「管理組合は会社だと考えると、理事会は経営会議のようなもの。年に一回の総会は、株主総会ですね。理事会活動を行う上での基本、憲法前文ともいえるものが理念であり、総会決議で意思決定を行って、みんなの総意で行動していくことができます」

高田副理事長「たとえば、ブラウシアガーデンの立木にイルミネーションをつけようという提案があった際に、興味がある人とない人とに分かれますよね。でも“マンション生活を充実させる、楽しむ”のような理念・ビジョンがあると、やりましょう!と自信を持って判断できます。マンションは、ただ住んでいる箱じゃない、せっかく住んでいるのだから終の棲家になるよう、良好なコミュニティを作っていきたいと考えています」

理事の皆さんにお話を伺っていると、これからはマンションを住み替えていく時代ではない、終の棲家としてのマンションコミュニティを自分たちでつくっていこうという意識を皆さんがお持ちになっているのだと強く感じました。

副理事長の鮫島さん(写真左)、施設担当理事の吉岡さん(中央)、副理事長の高田さん(右)。

緑の交流、共用備品貸し出しサービス、多彩な活動

書記担当理事の逸見さん(写真奥)、副理事長の田原さん(写真中央)、会計担当理事の武部さん(写真手前)。

ブラウシアでは、フレンドリークラブが率先してさまざまな交流活動に取り組んでいます。管理費とは別に毎月350円のコミュニティ費用を徴収しており、年間180万円ほどの予算で、コミュニティ活動を実施しています。

【ブラウシア ウェルカムガイドブック】生活運営グループが編纂したガイドブック。カラー12ページで、マンションに新しく入居した住民が必要な生活情報をコンパクトにまとめてあります。

理事会では、新しい入居者が引越されてくると、この「ブラウシア ウェルカムガイドブック」をもとに暮らしの説明を行うそうです。新しく入居した人にとっては遠い存在である理事とも一度会う機会が持てますし、後々の居住トラブルを未然に防ぐためにも、この顔合わせの場は有効だそうです。確かにいい顔合わせの場になりますよね。

【ブラウシアガーデン】住民みんなで植え替えを行う共用部の植栽。自分たちの手で行うことで、植栽への愛着が湧きます。一緒に庭作りを行うマンションとして、新聞にも取り上げられました。コミュニティで緑の交流っていいですね。

【共用品貸し出しサービス】ケルヒャー(家庭用高圧洗浄剤)、ピクニックテーブル、脚立、自転車の空気入れなど、あると便利だけれど、ふだん使わないものを共用備品として貸し出ししてくれます。どこのマンションでも取り入れたくなる便利なサービスですね。

田原副理事長「貸し出しサービスについては、アンケートを実施して、何が借りたいか聞いてみましたが、トランクや脚立など、結構幅広いニーズがあって、どれが一番人気という品物はありませんでした。もともとマンションとして保管しているものを貸し出しているので、今後のニーズによって品揃えは考えていきたいですね。いまはとても便利に使っていただいているようです」

逸見書記担当理事「私は新しく参加したばかりですので、意見を交わしつつもまだまだ日々勉強することばかりです。でも住民のための役に立つことに関わっているのは、すごくいいことだなと感じています」

貸し出す物品のトラブルに関しては、申込時に自己責任で使用していただくことに了承してもらうなどの配慮を行っています。必要なものをシェアするという、ものの貸し借りの新しいかたちといえますね。

【夏祭り】屋台もいろいろ出店してイベントがいっぱい!

生活運営グループでは、こうしたサービスのほか、防犯カメラの運用ルールや文書管理など、多岐にわたる活動を行っています。
また、そのほかにフレンドリークラブが年間の交流イベントを実施。春にはスプリングイベントとしてサークル紹介や花壇の植え替え、夏祭り、クリスマスイベントのイルミネーション点灯など、季節ごとに楽しいイベントが用意されています。

武部会計担当理事「マンション内には小さなコミュニティサークルが10サークルくらいあって、それぞれの趣味の活動を行っています。登録制にしていて、登録サークルの場合には共用施設を無料で使えるなどの特典を用意しています。スプリングイベントでは、住民にサークルを紹介したりしています」

こうした住民同士の楽しい交流活動が、コミュニティの礎になっているにちがいありません。

牧野自治会長。自治会では、お祭りをはじめとしたフレンドリークラブの活動との連携、さらに近隣のマンションとの交流や防災活動、行政とのやりとりなど多岐にわたる活動を行うそうです。

HPやSNSからの情報発信は、マンションの資産価値向上にもつながる

ブラウシアは、公式ホームページ(現在作成中)や公式Facebookページから、外部へ情報を発信しています。これも新しいマンションらしく、ユニークな取り組みだと思いますが、発案のきっかけは何だったのでしょうか?

高田副理事長「分譲マンションを購入する際には立派なホームページが用意され、さまざまな情報を知ることができますが、中古として買う場合、情報を入手することは大変困難ですし、そのような情報を入手するすべがありません。また、購入時よりも設備やサービスがグレードアップしていても、実際に住んでいる住民にしかわかりません。そうした情報も含め、管理組合がどんな活動をしているのか、中古を購入検討されている方へお伝えできればと、ホームページやFacebookページを活用しております」

公式ホームページは現在制作途中ですが、公式Facebookページでは、管理組合のさまざまな日々の活動が、写真入りの投稿で紹介されています。

ブラウシア管理組合の公式Facebookページ。

八柳理事長「マンションの資産価値を誰が決めるのかというと、外部の人たちなんですよね。それに、自分たち管理組合が自己満足していても仕方がありません。ハードだけでなくソフトの情報も、しっかりと外部へ情報発信していくことが、マンションの資産価値の向上につながると考えています」

SNS投稿は管理に注意が必要ですが、ブラウシアでは事前に内容を理事たちがチェックしてから投稿するというスキームがしっかりと整えられているそうです。活動報告やイベント告知など、動的な情報をFacebookページに掲載していき、マンションのスペックや概要などの静的な情報はホームページに掲載するという、情報設計もきちんと考えられています。これからのマンションは、こうして外へ情報発信していくことが、資産価値を高めることにもつながっていくのでしょう。IT を積極的に使っていく手法もブラウシアならではです。

ブラウシア公式ホームページ(現在作成中)
http://blausea.net

ブラウシア管理組合 公式Facebookページ
https://www.facebook.com/blausea?fref=ts

「自分達でこんなにいい方向へ変えられるとは思わなかった」

八柳理事長「マンションの管理組合の仕事は、目標を設定した、会社的な経営概念を持っていないといい運営はできませんね。このブラウシアでは会社の経営形態の考え方を管理組合に導入しています。給料もボーナスも出ない会社ですけどね(笑)。会社と違う点は、社長や上司がいる訳ではなく、みんなが対等な関係であるということですね」

吉岡施設担当理事「グループ毎の議論も非常に熱心です。ふだんから理事同士とメールで話をしています。毎日10〜20件のメールが飛び交って議論をすることが多いですね」

リアルな話し合いの場の定期的な理事会と、オンラインでの密な情報交換の場とを組みあわせたコミュニケーションが、うまく機能している好事例だといえます。

鮫島副理事「ブラウシアへ引っ越す前に、2つのマンションに住んでいました。その経験からいうと、マンションのコミュニティは、活発な時期が終わると次第に寂れていくものですが、ブラウシアの場合はどんどんよくなっていっていると実感しますね。まさかマンションが自分達でこんな風にいい方向へ変えていくことができるとは思いませんでした」

住民が、自分たちのマンションをよくしていく。これこそが一番理想的なマンションの暮らし方です。理事会などで時間的な拘束も多くあるそうですが、皆さんが自分たちでマンションをよくするために力を合わせている、その姿勢が傍から見ていても気持ちよくいきいきとして見えました。2015年に10周年を迎えるブラウシアは、これからもますますいいコミュニティを育んでいくに違いありません。

ブラウシア冬の風物詩。クリスマスになるとブラウシアガーデンにイルミネーションが点灯されます。

冬になるとブラウシアガーデンにイルミネーションを付けるなど、ブラウシアの活動は、近所の子どもに羨ましがられることも多いそうです。

「ブラウシアを、この街のランドマークになるようないいマンションにしたい」、管理組合の皆さんの中にはそんな思いがあるそうです。ブラウシアは、住民みんなの心の中に、愛着ある故郷のような存在になりつつあるのでしょう。

これからのブラウシアのコミュニティ活動に期待しています!

2014/12/10

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