世代の違う他人同士が一緒に生活するきっかけとは? ~世代間交流シェアハウスの説明会をレポート~

3月27日付けで紹介した「シェアハウスの新しい試み~世代間交流をコンセプトにした『IGHシェアハウス』~」
4月上旬、実際に希望する方々向けの説明会が東京・高円寺で開催された。他人同士が、なぜ一緒に住みたいと思い、また、どのようにしてわかり合い、第二の家族として暮らしていくのだろうか。参加者の声も交えて、当日の模様をレポートしていきたい。

※IGH:Inter Generation Houseの略。
※世代横断型シェアハウス:単身高齢者と母子家庭世帯による共同生活。若者世代を中心とした同世代同士が共同生活を送る現状のシェアハウスを「学生寮」と位置づけるならば、 相互に助け合いながら共同生活と交流を図る「擬似家族」と表現できる今注目の新しい形のシェアハウス。

はじめての顔合わせには、自己紹介が欠かせない

今回の説明会は、高円寺にあるカフェで行なわれた。当日参加された方は、女性の方が2組、シニアは男性の方が3組の計5組。まずはじめに、今回の説明会を主催する株式会社ナウいの担当・坂東氏から、説明会のプログラムが発表された。

【プログラム】
・IGHシェアの説明
・グループ作業
・シェアハウスに住んだ場合を想定したシミュレーション
・シミュレーション結果の発表

参加した方は初顔合わせだったため、少々緊張した雰囲気のなか、まずは一人ずつ順番に名前と参加した理由を説明していく。ある女性は、小さい子どもと夫と三人暮らしだが実家が遠方にあるため、その解決策のひとつとして、このシェアハウスを検討しているという。また、あるシニア男性は、奥さんと二人暮らしで、将来的なことを考えて勉強に参加したらしい。当たり前だが、それぞれ参加した背景はまったく異なる。自己紹介は、ちょっとした内容でも、お互いの共通点をみつけたり、理解を深めるためには欠かせないことだと、改めて感じた。

緊張した中での自己紹介。交流するための「はじめの一歩」だ。

共同作業で、互いの距離がグンと縮まる

続いて、同じテーブルに座った人同士が交流を深めるためのプログラムがはじまった。今回は、「オリジナルメッセージボード」づくりだ。段ボールをベースにして、布切れや紙粘土を使って思いのままつくっていく。

オリジナルのメッセージボード。段ボールを使っているとは思えないほどの出来栄えだ。

講師の先生が簡単につくり方を説明をしたのち、いよいよ制作がスタート。
はじめはそれぞれ黙々と制作に励んでいたが、途中から工作の苦手な女性が、得意なシニアにアドバイスを求めたり、お互いのデザインや選んだ生地の使い方について話しあったりするなど、徐々に会話が弾んでいく。女性が連れてきた小さな女の子・男の子が間に入って参加しはじめると、もうグループも関係なく、一気に親近感や一体感が沸いてきて、実に楽しい交流会になった。

先生がつくり方をていねいに説明。柔らかな雰囲気が参加者の緊張を解きほぐしてくれる。

ただいま製作中。マトリョーシカのアップリケがとってもキュート。

メッセージボードづくりのさなか、シニアの男性に、参加された理由をきいてみた。
「今は妻と一緒に住んでいますが、もし先立たれて一人暮らしになったときのことを考えると非常に困ると思って参加してみました。一人暮らしになって困ることはたくさんありますが、特に食事。男性は料理ができないし、一人で食べるのは味気ないものです。今回のシェアハウスのようなサービスを利用すれば、同居する方と「ギブ&テイク」の関係がつくれて、不安な点も解消できるかも、と思いました。また、自分の子どもではなく他人だからこそ、かえって世代が離れていても同居しやすいのかもしれませんね。」

お互いに住むことを想定した「ルール」を決めることが大切

オリジナルのメッセージボードづくりを楽しんだ後は、休憩を挟んで、最後のプログラム「IGHシェアに住んだ場合を想定したシミュレーション」が行なわれた。参加者全員で、「もしこの家に一緒に住んだら、どういったルールが必要か」について、意見を交換しながら、最終的なルールを発表していくという試みだ。
話し合いの一部を紹介すると、

シニア男性:「私は夜型なので、朝は10時に起床しています。」

女性A  :「私は朝仕事が早いので、朝ごはんはたべません。」

女性B  :「私は朝ごはんを食べる習慣なので、朝は私が担当し、シニア男性の分をつくります。」

というように、朝食の支度ひとつとっても、生活習慣の異なる人が一緒に生活するには、それなりのルールが必要なのだ。ほかにも、「入浴時間」や「部屋に鍵をつける・つけない」「子どもの送迎・預かり」などについて真剣に話し合われ、最後にまとめたものがルールとして発表された。
一緒に住むからこそ、妥協せずに話し合うことが、後の円満な関係には必要だということが、ヒシヒシと伝わってきた。

「一緒に住んだら」を想定した話し合い。自然と熱がこもる。

プログラム終了後、参加者の方にお話をきいてみた。
「今後の老後の選択しとして考えていきたい」とシニアの男性。
「いま住んでいるご近所に、IGHシェアに登録しているシニアの人がいるので、タイミングがあえば紹介してもらって、今日のようにルールを話し合いながら、一緒に住んでみたい」と、前向きな女性の方。

最後に、株式会社ナウいの代表・桑山氏に、説明会の狙いについて話をきいた。
「今日は、事前に相性や条件の合う方をグループにして、お話しが進みやすいように計画していたのですが、途中退席や欠席の方もいて、当初予定していた通りには進みませんでした。それでも少ない人数だったことで、たくさんお話して、交流いただけたのではないかと思います。あとはこのような取り組みを重ねていって、お互いに『この人なら』という合意が得られて、長屋のような暮らしが生み出せたらいいと思います。」

「IGHシェア」は、まだまだ新しい住まい方ではあるものの、一人暮らしの高齢者を支えるシステムとして、今後受け入れられる可能性は十分にあるだろう。また、マンションでもこのような仕組みを取り入れれば、孤独死や引きこもりといった問題が解消され、より安心して住むことできるのではないだろうか。
「IGHシェア」の今後のますますの活動に期待したい。

2012/05/02

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