見直されるパリのオスマン様式アパルトマン 

パリのアパルトマンというと、すぐに思い浮かぶのが、重厚な石造りのオスマン様式のアパルトマン。19世紀に、パリを含むセーヌ県知事を務めたジョルジュ・オスマンが取り組んだ都市整備事業によって誕生しました。

整然と並ぶアパルトマン。

パリの街には、こんな狭い三角形の土地に建てられた住居もよく見かけます。

こうしたアパルトマンは、パリの美の象徴として100年、200年と受け継がれてきましたが、先日まで開かれていた『パリ・オスマン -都市のモデル』展を見て、その法則を見直す機会がありました。

オスマン様式の特徴は、道路の幅に応じて建物の高さが定められ、建物同士が隙間なく建てられていること。階ごとの高さはどの建物もほぼ同じなので、外壁が連続して流れるようにつながっています。

こうした建築様式によって、連続性のある美しい街並みがつくられただけではなく、建物の柔軟な活用も可能にしたそうです。つまり、隣の建物とつなげてより大きな住宅にしたりホテルに改装したり、またオフィスに変えたりと、時代とともに、用途に応じて改装することができ、建物を解体してあらたに建設する必要がなかったわけです。

日本の住居に比べて天井が高いのも特徴ですが、各階の高さをみると、地上階が4~5m、1階(日本の2階)が3~3.9m、3階以上は平均3m。各部屋に、ほぼ床から天井まで届く細長い窓が取り付けられています。展覧会での説明によると、横長の窓に比べて、より自然光を取り込みやすく、風通しもいいとのこと。

また、外からは見えませんが、採光のために中庭がつくられました。ひとつの区画に、中庭をつくり、それを囲むように建物を建設。ひとつの中庭を複数の建物が共有している場合が多いです。現在では、中庭が共有の自転車置き場やごみ置き場になっているところもあります。

私が住んでいるアパルトマンは19世紀末の建設ですが、道路側と中庭側の両方に窓があるため、風通しがよく、1日中光が差し込みます。

写真左:『パリ・オスマン -都市のモデル』展に展示されていた中庭のある建物の模型。
写真右:建物を表から見たところ。外壁の装飾もより華やかです。

中庭的な空間の設置は、現代の都市計画でも受け継がれています。個の空間である住宅と、都市の間にある中庭があることで、少し豊かな気持ちにさせてくれる気がします。

一見窮屈に見える石造りのアパルトマンですが、このように、大きな窓や中庭、アパルトマン内にある廊下など、最大限の空間をつくる工夫がなされていることが分かります。

隣の建物と隙間なく建てられているので、暖房効果が高いという利点もあります。隣人の声も聞こえてくるのは欠点かもしれませんが……。

とはいえ、100年、200年と引き継がれてきた建物の良さを最大限に活用し、現代にあったら新たな建築技術や省エネ対策も取り入れながら、守り続けていきたいものです。

こちらも併せてご覧ください。
フランス・アパルトマンの基本情報(その1)パリジャンの住宅事情

2017/09/25

プロフィール

三富 千秋

パリ在住のフリーライター。パンや菓子、料理など食の話題を中心に雑誌や食専門誌に発信しているほか、フランス人のライフスタイルについてのコラムも執筆。フランス人の日常生活をさらに知るべく、フランス各地で取材中。


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