マンション防災対策の勘違い—災害用トイレの備蓄量

個人でも、災害時に備えて災害用トイレを備蓄することが浸透しつつあります。しかし、その備蓄量に関しては、まだまだ勘違いが多いようです。

災害用トイレは「とりあえず1箱買っておけば大丈夫」という勘違い

防災関連のイベントやセミナーに招かれて、参加者の方々の声を耳にすることがよくあります。皆さん、災害時にトイレが使えなくなることへの不安を漠然と感じていらっしゃるようです。しかし、個人宅での災害用トイレの備えに関しては、まだ正確な情報が提供されていないようなのが気になります。

とある防災訓練で、参加者の主婦の方々がこんなことを話していらっしゃるのを耳にしました。「トイレ、心配ですよね」
「うちは、最近災害用トイレを1箱買ったから大丈夫! 1箱20回分で相当な量があるから安心です!」

どんなタイプの災害用トイレなのかはわかりませんが、ご家族は何人いらっしゃるのでしょうか。
もし「1日1個使っても、20日分の備蓄がある」とお考えでしたら、それは大きな間違いです。

災害用トイレは、衛生面から考えても1人1回使用する毎に処理しなければいけません。個人差はありますが、大人の排泄回数は1日4〜5回あります。家族4人暮らしだとすると、1日で不足してしまいます。

災害用トイレは、1日分 × 家族の人数分を備蓄する

マンション内被災生活では、配水管の破損有無の確認ができるまでは、自宅のトイレを使って水を流さないようにするルールを徹底するのが常識です。

震度5強以上の地震が起こったら、マンションのトイレが危ない?

敷地内に災害用トイレの備蓄や非常用マンホールトイレの準備があるマンション管理組合もあるかもしれませんが、できれば自宅でも災害用トイレを用意し、安心してトイレを使える環境を整えておきたいものです。

使用回数に個人差はありますが、1日1人5回程度トイレを使うと仮定して、

1日の災害用トイレ使用数:1日5回 × 家族人数 × 10日分

の防災害用トイレを備蓄しておくと安心でしょう。

4人家族なら、1日5回×4人×10日分=200回分という計算になりますね。

災害用トイレの備蓄量は、箱単位で考えるのではなく、実際の使用数を割り出してロジカルに考えてみてください。また、実際に家族で使ってみて、どのような処理方法や防臭・衛生対策が必要なのかも検討していただければと思います。

検証!家族3人10日間、マンションのベランダに放置した災害用トイレのゴミの量とは?

危機管理アドバイザー国崎信江の「マンション防災・安心のススメ」

粉末凝固剤タイプの災害用トイレはこちらから購入いただけます(外部リンク)
マイレット※100回分入って、10年間の長期保存が可能です。

2017/09/07

プロフィール

国崎 信江

危機管理アドバイザー。危機管理教育研究所代表。女性として、生活者の視点で防災・防犯・事故防止対策を提唱している。文部科学省地震調査研究推進本部政策委員、防災科学技術委員などを務める。講演活動を中心にテレビや新聞など各メディアでも情報提供を行っているほか、被災地域で継続的な支援活動も行っている。

おもな著書に『大地震対策 あなたと家族を守る安全ガイド : ビジュアル版』(法研)、『震度7から家族を守る家: 防災・減災ハンドブック』(潮出版社)、『マンション・地震に備えた暮らし方 (地震防災の教科書)』(つなぐネットコミュニケーションズ)などがある。


株式会社危機管理教育研究所

一般社団法人危機管理教育研究所


↑ page top