マンション防災対策の勘違い—突っ張り棒を使った正しい家具固定のやり方

マンション防災の勘違いや、防災グッズの誤った使用方法を紹介して、正しい方法をアドバイスしてまいります。今回は、突っ張り棒(ポール式)による家具固定の間違った使い方です。

家具固定のための突っ張り棒(ポール式)— 間違った使い方

防災意識が浸透している一方で、間違った認識で防災用品を使っているケースが多くあるようです。先日お伺いしたご家庭では、棚を固定するための突っ張り棒を、上の写真のように使っていらっしゃいました。
上の写真は、どこが間違っているのかおわかりになるでしょうか?

【誤った設置方法】

・2つの棚ですが、どちらも間違った位置に1点だけで支えています。
・真ん中に1本だけ突っ張り棒を入れていると、地震の衝撃で棚の天板を破って突き抜けてしまう可能性があります。
・突っ張り棒は必ず2本を棚の左右に入れます。
・写真向かって左の突っ張り棒は支えの向きが逆です。突っ張り棒の支え部分は、家具に対して垂直になるように向けます。

では、正しい設置方法は?

・突っ張り棒のポールを家具の両端の側板部に設置する。
・できる限り壁側奥に設置する。
・天井に強度がない場合は、板を挟んで天井に面で力が加わるように補強する。
ポールをネジで固定するとより効果的。
・取り付け位置の天井と家具との空きが少ない方が効果的。

突っ張り棒だけの家具固定では不十分

突っ張り棒だけでは、天井に強度がないと効果が見込めません。家具固定の中では効果が高いと言われている、壁と家具を固定するL字型金具やプレート式器具と併用して使用してください。

東日本大震災で被災した仙台市のマンションでは、「突っ張り棒で家具の固定をやっていたんだけれど、何の意味もなかった」という居住者様の声もありました。

東日本大震災から立ち直った被災マンションレポート!~被害状況から復旧まで~

東京消防庁が震度6強の揺れを再現した実験で、家具類の転倒・落下対策器具の効果を測定した結果がHPで公開されています。器具の効果は、L字金具(下向き取り付け)が一番効果大となっており、直接ネジで固定する方法が最もお勧めです。

東京消防庁「家具類の転倒・落下・移動防止対策ハンドブック― 室内の地震対策―(平成27年度版)」12P(外部サイト)


せっかく家具固定を行っていても、効果の低い器具を選んだり、間違った設置方法で設置していたりしては意味がありません。家具固定の対策器具の方法をよく勉強し、器具の取り扱い説明書を読んで正しい設置方法で設置するように心掛けましょう。

最上の危険回避方法は、「もしも」という想像力です。家具固定をしていても、もしこの家具が倒れてきたら? どのように危険が回避できるか? そんな視点で一度お部屋の家具固定対策を見直してみていただければと思います。

熊本地震から1年、室内の家具固定をしていないと起こりうる危険をいま一度チェック!

2017/06/22

プロフィール

国崎 信江

危機管理アドバイザー。危機管理教育研究所代表。女性として、生活者の視点で防災・防犯・事故防止対策を提唱している。文部科学省地震調査研究推進本部政策委員、防災科学技術委員などを務める。講演活動を中心にテレビや新聞など各メディアでも情報提供を行っているほか、被災地域で継続的な支援活動も行っている。

おもな著書に『大地震対策 あなたと家族を守る安全ガイド : ビジュアル版』(法研)、『震度7から家族を守る家: 防災・減災ハンドブック』(潮出版社)、『マンション・地震に備えた暮らし方 (地震防災の教科書)』(つなぐネットコミュニケーションズ)などがある。


株式会社危機管理教育研究所

一般社団法人危機管理教育研究所


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