マンションのコミュニティ事例!ものづくりでつながるマンションのシェアスペース~日の出ファクトリー~

同じマンションの住人といい関係を築きたくても、コミュニケーションのきっかけはつかみにくいものです。「自分の住まいにもっと、愛着や人とのつながりを持てるきっかけはないかな……」そんな純粋な想いから、マンションの一室にクリエイティブなコミュニケーションスペースをつくったところがあります。――名前は“日の出ファクトリー”。東京都豊島区東池袋にある13階建ての賃貸マンションの1室です。
ここの発案者であり運営会社である合同会社日出家守舎(ひのでやもりしゃ)の代表を務める中島明さんに、つくった思いや今後の展開について伺いました。

【取材者】中島明さん

“日の出ファクトリー”(外部リンク)を運営する合同会社日出家守舎(ひのでやもりしゃ)代表。企業のコミュニティづくりを支援する専門家として15年以上のキャリアを持ち、豊島区の面白い人たちが集まるコミュニティ&イベント「としま会議」の企画・プロデュースも務める。

“日の出ファクトリー”の土壌は「マンションコミュニティ」と「としま会議」

「これからこの場所が面白くなっていくだろう」――中島さんには強い予感がありました。“日の出ファクトリー”があるマンションは、賃貸マンションなのに壁紙を選んだりリノベーションできたりするので、住まいに“こだわり”を持つ人が多く住んでいます。“日の出ファクトリー”ができる前から、同じこだわりを通して住民同士の交流が始まり、屋上で野菜を一緒に育てたり飲み会をしたりと、賃貸マンションにも関わらず「コミュニティ」のある場所になっていました。

そして、コミュニティの盛り上がりを受けて、2階にあるテナントエリアにも特色のある店――地域の人やその道のプロから学ぶことにも力を入れている幼児教室「グレートキッズ」、「まちにもう一つの食卓を」がテーマの食堂「都電テーブル」や、コワーキングスペース(現在閉鎖)、2017 年4 月には、1F にまちの保育園・東池袋が入りました。

中島さんはその頃、“まちに開く”イベントを企画・プロデュースすることになり、豊島区のまちの人たちを毎月呼んで行うトークセッション&パーティー「としま会議」を立ち上げました。キャッチフレーズは、「このマチをもっとオモシロく!」。ラーメン店の店主や行政担当者、お坊さんなど豊島区内で活躍するさまざまな分野の人を呼んでのトークイベントを、そのコワーキングスペースを借りて開催したのです。

中島さんの「この地域に根をはろう」という強い思いからの働きかけもあり、「としま会議」では参加者同士のコラボレーションや、多様な出合いのドラマも生まれていきました。
こうして、このマンションの1室では地域コミュニティが活性化し、“日の出ファクトリー”の土壌が培われていったのです。

必然と偶然の重なりから誕生した“日の出ファクトリー”

「としま会議」をスタートして半年後、中島さんは「リノベーションスクール@豊島区」に参加しました。リノベーションスクールとは、実際の空き物件を対象に参加者がチームを組んでリノベーション事業プランを考え、不動産オーナーに提案し事業化を目指すものです。
そして偶然にもその時、取り上げられた空き家が、後の“日の出ファクトリー”の場となるマンションの一室でした。中島さんがチームメンバーと考えたプランは、暮らしの身近なものを作る“作り手”が集まる「Co-Making Space」でした。
モノを買うよりも、自分で作ったモノや知っている人が作ったモノの方が愛着も湧き、暮らしが楽しく豊かになるはず。「身の回りのモノでもっと暮らしを楽しめるように」――そんな発想で賃貸マンションの一室を、「作り手たちが集まるシェアスペース」にしようと企画したのです。

中島さんはリノベーションスクール終了後、実際に事業化するべくメンバーを集めました。マンション内に住人同士で交流する「コミュニティ」ができていて、「としま会議」により地域に新しい動きやコラボレーションが生まれことで必然的に人が集まる土壌になっていたこと。「リノベーションスクール」で場を構築する機会が偶然あったこと――中島さんを要に、この重なりがベースとなり、2016年4月“日の出ファクトリー”が誕生しました。

“日の出ファクトリー“はマンションの一室をリノベーションし、ナチュラルな木の質感にどこかほっとする、つくり手たちのシェアスペースに変貌しました。

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2017/06/06

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