マンションにおけるライフオーガナイズとは?~シニア世代の空間整理術を学ぶ~

子どもが成長し独立したり、一人暮らしの親と一緒に住むことになったりなど家族構成が変わるとき、必要となってくるのが住まいの整理。「片付けなくちゃ」と思うものの、なかなか進まないものです。

ライフオーガナイズとは?

今注目されている“ライフオーガナイズ”とは、「これからの人生、どのように暮らしていきたいか」という問いから、前向きな気持ちで生活空間を見直すことです。

ライフオーガナイザーの小森あきさんに、その整理術について聞いてきました。

小森あきさん

「Studio Felice(スタジオ フェリーチェ)」(外部リンク)代表。住環境セラピスト®。インテリアデザイナー。自身の病気での入院時、家族がどこに何があるのかわからず困ったことで、整理の仕方を見直した機会に、一般社団法人 日本ライフオーガナイザー協会(外部リンク)のことを知り、「メンタルに注目した、その人にあった整理術」に共感し正会員となる。

心に寄り添うライフオーガナイズ

ライフオーガナイズの整理術の考え方はアメリカで生まれ、一般社団法人日本ライフオーガナイザー協会が日本人の社会背景や住宅事情、特性などを考慮して、概念・ノウハウを体系化しました。特徴は、いきなり模様替えや片付けを始めるのではなく、その人の心に寄り添いその人に合った方法を見つけながら進めていくことです。まず「自分がどう生きたいか?」と思考を整理し、そうなるために「どのように暮らしたいか?」と空間を整理していきます。

小森さんに相談されるシニア世代の相談者で多いのが、子育ても落ち着き、定年などによる生活スタイルが変化する世代の人や、70歳代になる親を持つ世代の人たちです。子どもの成長に合わせ生活環境を整えてきたものの、子どもの独立後も環境はそのままで、今の自分たちの生活ではそぐわなくなったりします。また、モノを大切にするあまりモノがあふれ、片付いていない空間はシニアにとって、“安全ではない住まい”ともなります。
こういった相談を多く受けてきた小森さんは、「子どもが巣立つ時や配偶者が定年になる時、親の介護が始まる時など家族構成が変わるときが整理するタイミング。そんなときがライフオーガナイズの絶好のタイミング」と言います。

整理できない理由をひもといて暮らしやすく!

身の回りの整理できないままのものには、出来ない理由がそれぞれにあります。そこをひもといていくことだけでも作業が進んでいきます。
例えば、袋に入ったままの昔の写真の束などは、思い出があるのでなかなか捨てられません。でも、束のまま無造作にしておくと、見ることなく劣化してしまうこともあります。そこで、過ごしてきた時代ごとの思い出のベストショットを選びアルバムにし、残りは思い切って処分します。アルバムになると気軽に眺めることができるようになり、子どもに譲り渡すこともできます。

子ども世代の勧めで戸建てからマンションに引っ越してきたものの、収納場所がなく何年も段ボールのままになっていることも少なくありません。

シニア世代だけになったのに、「今は使用しない子どもが小学生の時に使っていた食器が一番取り出しやすい場所に残り、今よく使う食器が取り出しにくくなっていることに気が付いていない」「大皿を踏み台に乗らなければ取れない状況で危険」という家庭がよくあります。日常よく使うものがどこに置かれているかを、改めて見直すことも必要です。
「今の自分の生活で何を必要とし、使っているか?」を意識して部屋を眺めると、「これってここじゃなくていいよね?」というのが分かってきます。

薄暗い場所での作業や物を探すことが、苦痛になっていることもあります。最近は気軽に取り付けられる小さなライトが売られています。収納スペースなどに、小さなライトを設置することで、格段に生活しやすくなります。収納スペースや引き出しを開けてものを探す時、ちょっと明るくなるだけで日々の暮らしが快適になります。

このように、ちょっと不便だったり危険だったりする小さな問題が、心のザワザワになっているかもしれません。自分がどのようにしたら快適かを考え整えていくと、暮らしやすい空間が生まれます。

ライフオーガナイザー直伝!整理術6つのポイント

ライフオーガナイズでは、実際にどのように“整理”をすすめていくのかポイントを聞いてみました。

①気持ちを整える

いきなり片付けるのではなく、気持ちを整理するところから始めます。自分の家の中で、なんとなく心がザワザワすることはないか? 今の自分に大切なことは何か? どんなことをして過ごすことが多いか? これからどんな人生を送っていきたいか? ――振り返って言葉にします。最初の段階は抽象的で構いません。

②気持ちを具現化する

次に、これからどんな環境をつくったらいいかを具体的に出来るだけたくさん言葉にし、書き出していくことをします。出来れば家族や第三者とたくさん会話をすると思考が整理され、知らなかった考え方や人生観が見えてきたりします。小森さんの母親も多趣味で多くの物があふれていましたが、家族で会話を重ねるうちに、大切なものは「織物」だと心が整理され、今まで捨てられなかったものを少しずつ処分し、「織物」に専念する空間を得ました。

③小さな成功をコツコツと

理想の空間がイメージできたとしても、テレビで見るように部屋中にものを全て出して、大掛かりで整理するのはマンションでは大変なことで、自分で出来るのか不安にもなります。小さなスペースを整えることから始めることを勧めます。例えば、机の上の書類の山や一番よく使う引き出しの中など、小1時間で出来るようなスペースを整え、維持することに日々努めます。それができれば小さな成功体験となり自信がつき、積み重ねていくことで暮らしは快適になります。

下着収納・小物収納など、「これだけは」というものを決めて、すっきりした状態を維持し続けることが大事ですね。

④固定概念は捨て、自分がどうしたいかを考える

「苦手なのにやっていること」の、固定概念を捨てることも大切です。洗濯物をたたむことが苦手な人、たたんでも引き出しの中でぐちゃぐちゃになる人がいるかもしれませんが、たたむことが洗濯物を整える全てではありません。干したハンガーのままつるして整理する方法もあります。
また、夫婦や家族は「一緒」が全てではありません。それぞれの希望や生活スタイルがあるのに、どちらかに合わせて無理をしていることがあります。例えば、早起きタイプと夜ふかしタイプのシニア夫婦であれば、今までは一緒に寝ていても、空いた子ども部屋を使って、寝室を別々にする選択もあります。

⑤家族全員が困らない維持できる暮らしを心がける

洗濯洗剤など家族が日々使う物の場所を、分かりやすく配置しておくことも大切な視点です。家事をする人が「私が分かっていればいい」ではなく、いざというときに備えて「私が不在でも家族が困らない住まい」を心がけることも大切です。個々にできることが増えれば、家事をする人の負担軽減にもつながります。何より、どんなときでも日常を維持できることが大切です。

⑥思い切って大きく整える

家族構成が変わるなど生活スタイルが大きく変化する時は、家具の配置だけでなく、間取りも未来に向けて整えることも一つです。マンションの場合、既に決められた間取りへ入居する場合が多いですが、リフォームをすることにより暮らしやすい住まいが生まれます。

快適なマンションライフにするために

シニア世代のマンション暮らしを快適にするには、「どんな暮らしをしたいのか?」「自分にとっての快適な整え方とは?」と、本人と家族や第三者と会話をすることが大切なようです。ライフオーガナイザーの中には“レジデンンシャルオーガナイザー®”という住まいに関わるプロでありライフオーガナイザーの資格を持つ方もいます。小森さんもその一人として活動されています。ライフオーガナイズの心に寄り添う整理術で、部屋だけでなく心や生き方も整理し、“快適なマンションライフ”にしていきたいですね。

整理術については以下の記事もありますのでご覧ください。

「整理」「整頓」「片づけ」「収納」は、すべて違う!

整理収納に関するアンケート

風水で良い写真の飾り方・整理の方法!

文:Loco共感編集部 泉本花代

2017/06/02

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