地域住人の「生きた街情報」を伝える取り組みがマンションの資産価値を上げる?

住みたいマンションの決め手とは何でしょう? 間取り・価格・方角など、物件そのものに目が向きがちですが、マンション周辺の“地域情報”も生活していく上で、また物件の資産価値としても重要になってきます。

昨今、「地域住人が発信する街情報」を、物件選びの判断材料に役立てる取り組みが始まっています。住む街の魅力を生活者である住人が発信することで、マンションの魅力がより高まっているようです。

そこで、この取り組みをサービスとして取り入れた、東京都国分寺市の新築マンションギャラリーにお邪魔しました。その様子とサービスについてお伝えしながら、マンションの資産価値アップにどう活かせるのかを考えてみたいと思います。

住む人を通して見える「その街での暮らし」

新築マンションギャラリーで行われているサービス名は《マチアイ》――株式会社リクルートコミュニケーションズと、出産や育児で離職中の女性が地域で働く仕組み作りを推進する、非営利型株式会社Polarisとの連携で生まれました。地域に住む主婦が、国分寺でマンション購入を検討する人に「街に住んでいる人がどんな暮らし方をしているか」を対面で伝えるサービスです。

伝える主婦は、情報提供のノウハウを学ぶ研修を重ねていて、“地域コンシェルジュ”として活躍しています。「生活の場としてどうなのか」など、実際にその街に住んでいるからこそ話せることを、顧客目線で案内しています。例えば、どこのスーパーでどんな品物が安いかや、数ある病院の医師の特徴や診療方針など、細やかな地域情報を提供しています。

街の生活者でもあるコンシェルジュは、来場者にとってはマンション販売員と比べて親近感があり、積極的に質問しやすいという利点があります。話を聞いた人からは、「コンシェルジュとの対話が有意義だった」と、期待以上の反応を得られています。

マンション販売に《マチアイ》を取り入れた、“ザ・パークハウス国分寺四季の森”マンションギャラリー副所長の小倉英二さんは、「お客様にとって地域コンシェルジュの話は、購入の指標となり心強いのだと思います。販売員が伝える物件情報とは別の価値があり、地域情報の伝え方としてあるべき姿ではないかと感じています」と言います。

マンションギャラリー副所長の小倉さん。来場者が納得のいくマンション購入ができるよう、地域コンシェルジュとの連携を大切にしています。

マンション購入検討者がその地域について知りたいことや確かめたいことのベースは、「現在住んでいる所と比べてどうか」だとマンション販売の経験を積んでいる小倉さんは言います。頼もしいことに、コンシェルジュには他の地域からの移住者もいます。前の居住地域と比較した体験談や、移住の決め手になったものは何かなど、地図を見ただけではわからない“生きた情報”も持ち合わせています。それによって購入を検討している人は、街での暮らしが見えてくるようです。

地域の情報を伝えることで深まる愛着

地域コンシェルジュの金城涼子さんと佐々木亜樹子さんに、コンシェルジュのお話を伺いました。
金城さんは「地域の情報を伝える」コンシェルジュの仕事に興味を持ち、佐々木さんは「自分が住む地域に直接貢献できることをしたい」と考え、この仕事を始めました。

左が金城さん、右が佐々木さん。マンション購入という大きな買い物を検討する来場者の緊張をほぐし、リラックスして対話ができる雰囲気づくりを心がけています。

マンションギャラリーには、国分寺の地域コンシェルジュ全員で作成したというマップがありますが、2人の思いも反映した、実体験があるからこそわかる細やかな情報がまとめられています。
ジャンル別になっているマップは、冊子にできるほどの数が揃っていて、読んでいると楽しくなる情報が満載!店・病院・学校・幼稚園や保育園・公園・通り道などなど、「新鮮な魚を買うなら?」「小学校への通学路は?」など日常生活の疑問に、全て応えてもらえそうな情報量です。しかも、その内容は利用者目線に沿った情報が、イラストを使ってわかりやすく描かれていて、生活そのものが手に取るように伝わってきます。

マンションギャラリーに掲示されているマップには、びっしりと情報が書き込まれていて、街への愛情が伝わってきます。

コンシェルジュの皆さんが説明するときには、地域住人の日々の営みや動線を、来場者がすぐに理解できるような言葉で表現し、可視化したマップで丁寧に説明するよう努めています。生活者としてのさまざまな年代の視点に立ち、実際のくらしがどうかをイメージしてもらうことを大切にしています。金城さんは「来場者によって必要な情報、不安に感じていることは異なります。ですから、それぞれのライフスタイルなどを考慮してお伝えしています」と話します。

実はコンシェルジュをしたことで、金城さんや佐々木さんは思わぬ副産物を得ました。それは、日々の生活を表現するための作業を通して、地域への愛着がさらに深まったこと。そして、コンシェルジュ同士の情報交換で、地域をより深く知ったことでした。
――地域に眠る「価値」を共有することは、新しい住人だけでなく既存の住人にも大きな結びつきを生んだようです。

次ページ:街の「価値の共有」が住まいと暮らしの魅力へ>>

2017/05/26

↑ page top