被災後1週間、都内マンションで在宅避難するための本当に必要な備えとは?

首都圏直下型地震や富士山噴火などがいつ起きてもおかしくないと言われている昨今、さまざまな情報を元に、災害に備えている人が多いのではないでしょうか。

しかし住んでいる地域、家族構成、住宅事情などによって、本当に必要な物は変わってきます。今の備えが十分かどうかは、試してみるしかない?そこで、東京のマンションで毎年2回「家庭内被災体験訓練」を実践、備品を実際に使ってみて本当に必要と思われる被災対策に努める平野恭子さんにお話を伺いました。

「天災を逃れた後」の状況の厳しさを自覚する

平野さんの念入りな自主防災訓練のきっかけは、宮城県にあるご実家が東日本大震災で被災したことでした。ライフライン復旧まで最長1ヶ月もかかりましたが、沢の水が使えたり、使っていたのが災害に強いといわれているプロパンガスだったりなどということに助けられ、どうにか生活することができたそうです。

その宮城に比べて、平野さんが暮らす東京では「天災を逃れた後」がかなり厳しい状態になることに気づきました。土地が狭く人口密度も高い上、核家族でマンション住まい、さらに近くの親戚もなし、という状況だからです。こうして「今、住んでいる場所で、ライフラインが復旧するまでの1週間をどう過ごすか」を念頭に置いて、平野さんは実際に被災体験訓練をしてみることに思い至りました。
訓練の概要は以下の通りです。

【家族・住環境】
・夫婦と3歳の娘の3人暮らし
・東京都内の5階建てマンションの最上階に居住
【被災の状況設定】
・家族がそろっている時間帯に地震もしくは富士山の噴火によって被災
・水道、電気、ガス、ゴミ収集、下水処理が止まる
・避難所には行かない
【訓練内容】
・家族がそろっている週末、土曜日の昼前から日曜日の10時頃までにかけて訓練実施
・主にトイレと料理、衛生状況について確認しながら行動をする
・真夏と真冬の年2回訓練を行う(天候や気温、子どもの成長によって備えるものが違うため)

では、実際の訓練の様子はどのようなものなのでしょうか。

やってみて分かった!今、本当に必要なもの

ライフラインなしで1日生活した結果、平野さんは主に以下のことに気づきました。

<トイレ>

便器に黒いビニール袋をかけるタイプの介護用トイレシートを使用。しかし3歳の娘さんは皮膚にビニールが当たる感覚が気になり、どうしても排せつできなかったため、便座のふたでビニール袋を挟み込む形で使用した。排せつゴミは半日で大きめのゴミ袋3分の2になった。

気になる被災時のトイレについてはこちらも参考にしてください。
→ 災害用トイレはどれが使いやすい? 災害用簡易トイレの使用テスト
マンション防災対策、災害用トイレとして代用できる「大人用おむつ」徹底検証!【試験編】

前回の訓練時、備蓄しておいた防災用トイレシートは水分の吸収がイマイチだった。そこで防災士からのアドバイスを受け、今回は「介護用トイレシート」を用意した。黒いビニールシートを便器にかけて使用。大人は極力臭いのもれないビニール袋内にするよう努力した。

<水>

片手でペットボトルに入った水を注ぎながら、1人で手や食材を洗うのが意外と難しかった。手についたものをちょっと洗うなど「清潔にしたい」と思ったときに水が足らず、調理や飲むことよりも想像以上に「洗う」ことに使うことが分かった。

<明かり>

ヘッドライトを頭につけていると、食事の際、向き合った時にお互いのライトがまぶしすぎることは、東日本大震災で経験済み。今回はランタンを食卓に置いてみたが、光量が十分ではなかった。そこで、リビングの照明にS字フックをつけてランタンを吊り下げてみたところ、ちょうど良い具合になった。

向かい合うとお互いにまぶしいヘッドライトの代わりに、ランタンをぶら下げたS字フック。体験してみれば防災備品の使い方にも工夫が広がる。

上に挙げた以外でも実際に訓練してみて分かることは多く、平野さんは訓練するごとに防災備品をどんどん変えているそうです。被災体験訓練がどれだけ有効か、よくわかりますね。

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2017/05/04

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