マンションでの災害ごみ(震災廃棄物)の処理ルールを、熊本地震などの災害事例から考える

東日本大震災や熊本地震の事例から、災害ごみの問題について考えましょう。マンション全体でルール化しておかないと、いざというときに大変なことになってしまいます。

マンションが被災すると、全戸分の災害ごみが発生する!

前回の記事で、室内の家具固定の重要性をいま一度お話しました。
マンション・ラボのアンケート結果からも、室内の家具固定を行っていない家庭が多いということがわかっています。

もし500戸規模のマンション住民のほとんどが家具固定を行っていなければ、被災した際に500戸分の壊れた家具や陶器・ガラス類などの災害ごみが出ることになります。
また災害ごみであっても、エアコンや冷蔵庫などの家電4品目は、家電リサイクル法に則って、リサイクルに回さなければいけません。家電は、災害ごみに混じって出すことはできないのです。

ほとんどが大型ゴミや不燃ゴミの災害ごみは、ライフラインが復帰するまで回収されませんし、家庭ごみの回収システムとは異なり、自治体の災害ごみ回収場所に自分で出しに行く必要があります。

政府の推定では、南海トラフ巨大地震発生時には最大約3.2億トン、首都直下型地震では約1.1億トンの災害廃棄物量が発生するとされています。東日本大震災では、災害廃棄物量約3,100万トンでした。これだけの規模を考えてみても、災害発生後すぐに災害ごみの回収が行われないと考えておく方がよいでしょう。

環境省 災害廃棄物対策情報サイト(外部サイト)

震災直後は、「ごみがごみを呼ぶ」事例もあった!

東日本大震災の被災マンションで、マンション内の共用部分に災害ごみを山積みにしていたところ、住民以外の方が災害ごみを出しにきて、ごみが溢れて大変な事態に陥ったということがありました。まさに「ごみがごみを呼ぶ」状態です。

またマンション住民の方は、24時間ゴミ出しOKなどでごみ出しのストレスを感じない生活に慣れています。部屋に災害ごみを積み上げていることに耐えられず、ごみ置き場やマンションの共用部分に出してしまう人も多いことでしょう。災害ごみは、大きな問題となるはずです。

家具固定の大切さを伝える、宮城県仙台市の被災マンションの事例。
東日本大震災から立ち直った被災マンションレポート!~被害状況から復旧まで~

マンション管理組合で、災害ごみのルールづくりを

熊本地震での災害ごみの問題。あるマンションでは、共用廊下やバルコニーにごみを置かないように注意喚起していました。(画像:危機管理教育研究所提供資料)

災害ごみは、自治体が一定期間無料で回収してくれます。それ以外に通常の通常ごみの回収が遅れたり、回収自体が行われなかったりすることがあります。災害ごみと通常ごみの分別の徹底や、回収が始まるまでごみ置き場に出さないなど、管理組合でごみ出しルールを決めておく必要があります。

災害時のマンションのごみ出しルールは、以下のようなものが考えられます。
・ごみで溢れるのでマンションのごみ置き場は使用しない。
・暫定的に数日間はごみ出しを行わない。
・バルコニーや廊下にごみを出さない。
・臭いのするごみに関しては、各戸で衛生管理や消臭対策を行う。

マンションの状況によって異なりますが、先にもお話したように敷地内に災害ごみを積み上げていると、「ごみがごみを呼ぶ」状態に陥りやすいものです。自治体による回収が行われるまでは、各家庭で保管しておいてもらえるように呼びかけるしかありません。

こうした可能性があることから、消臭・密閉袋、消臭・除菌剤なども各家庭の防災備蓄品に入れておくとよいでしょう。

被災後のごみ問題は深刻です。多くの災害ごみを出さないためにも、以下の4つの点を日頃から心がけて生活したいものです。
1 家具固定の徹底 
2 小物類の飛び出し防止(耐震ラッチの設置など)
3 室内の素材選び(壊れにくい・割れにくい素材選び) 
4 モノを少なくする

災害ごみを出さない工夫は、ご家族の安全に直結しています。ぜひ家具固定を徹底して、安全な住まいづくりを行っていただければと思います。

2017/04/26

プロフィール

国崎 信江

危機管理アドバイザー。危機管理教育研究所代表。女性として、生活者の視点で防災・防犯・事故防止対策を提唱している。文部科学省地震調査研究推進本部政策委員、防災科学技術委員などを務める。講演活動を中心にテレビや新聞など各メディアでも情報提供を行っているほか、被災地域で継続的な支援活動も行っている。

おもな著書に『大地震対策 あなたと家族を守る安全ガイド : ビジュアル版』(法研)、『震度7から家族を守る家: 防災・減災ハンドブック』(潮出版社)、『マンション・地震に備えた暮らし方 (地震防災の教科書)』(つなぐネットコミュニケーションズ)などがある。


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一般社団法人危機管理教育研究所


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