集合住宅に幼稚園を併設-。パリで増えるミックス型の集合住宅

パリ市の現政権の重要課題である住宅問題を解決すべく、パリでは多くの社会住宅(公団)の建設が進んでいます。パリ社会住宅供給公社Paris Habitat(パリ・アビタ)が手掛け、2016年に完成した社会住宅のリストを見ていたところ、クレッシュ(保育園)を併設したり、ハンディキャップを持つ方や高齢者向けの住宅を含んだりしている住宅がいくつもありました。さまざまな社会層が混じり合うソーシャル・ミックスだけでなく、幅広い年齢層が混じり合う街づくりが進んでいるようです。

例をいくつか紹介しましょう。

パリ18区 ルネ・ビネ通り

©Frédéric Delangle

BINET©Frédéric Delangle

©Frédéric Delangle

BINET©Frédéric Delangle

©Frédéric Delangle

BINET©Frédéric Delangle

4,320㎡の土地に建てられたガラス張りの2つの建物の中には、130軒を超えるアパルトマンが入居。保育園、託児所のほか、社会センターや遊技場、図書館も併設され、外からもアクセスできる地上階には、日本の保育所にあたる母子保護機関や歯科医もあります。中庭をつくることで、ほとんどのアパルトマンが2つの方角からの光を得ることを可能に。建物の周囲にも緑を植えているのは、環境問題への配慮のほか、面した大通りからの騒音を減らすためでもあるそうです。アパルトマンの住民だけでなく、周囲の住民たちの環境向上もめざした住宅建設となりました。
(建築事務所:Atelier Kempe Thil、Atelier FRES)

パリ4区 アンリ4世河岸

© Frédéric Achdou

HENRI© Frédéric Achdou

© Frédéric Achdou

HENRI© Frédéric Achdou

© Frédéric Achdou

HENRI© Frédéric Achdou

セーヌ川に面した通りにある住宅で、川の流れをイメージしたデザイン。70軒の賃貸アパルトマンと後に所有権が所得できるアパルトマン70軒、の53のパーキング、私立保育園が入っています。外壁の64%がガラスのため太陽光がたっぷり入り込むほか、屋上には太陽ソーラーパネルを設置。専門の会社によってデザインされた3つの庭もあります。
(建築事務所:Cabinet LIN)

パリ18区 オルナノ大通り&シャピオネ通り

ORNANO © Jérome Epaillard

ORNANO © Jérome Epaillard

ORNANO © Jérome Epaillard

ORNANO © Jérome Epaillard

ORNANO © Jérome Epaillard

ORNANO © Jérome Epaillard

こちらは地上階に私立保育園を備えた学生専門の住宅で、64軒すべてワンルーム(うち5軒はハンディキャップ対応)。旧建築に挟まれた真っ白な住宅は、新しさが目立つものの、波打つデザインだからでしょうか、唐突な印象や違和感はあまりありません。時とともに同化していくことでしょう。
(建築事務所:STERA Architecte)

ちなみにフランスでは、3歳になると無償のエコール・マテルネル(保育学校)に通うため、保育園には0歳から3歳までが通います。公立のほか、民間企業や非営利団体などが運営しているところもあります。フランスの女性は出産後も働き続けることが多いため、仕事に復帰した後は保育園に子供を預けたいと考える人は多いのですが、パリなどの都市部では、日本と同様、狭き門だそう。ベビーシッターなどほかの選択肢があるものの、保育園不足はいつも論議の的になっていました。

日本にも保育園を併設したマンションがあると聞きました。今回紹介したパリの例は、高級住宅ではなく、社会住宅(公団)。アパルトマンのタイプもワンルームから4~5室まで幅広く、子供がいる世帯だけが入居するわけでもありませんので、集合住宅の住民はもちろんですが、地域全体の住環境の向上を考えた政策といえるでしょう。

2017/03/02

プロフィール

三富 千秋

パリ在住のフリーライター。パンや菓子、料理など食の話題を中心に雑誌や食専門誌に発信しているほか、フランス人のライフスタイルについてのコラムも執筆。フランス人の日常生活をさらに知るべく、フランス各地で取材中。


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