もし話題のIoTがマンションにあったら?スマートホステル「&AND HOSTEL」に学ぶ未来の専有部分

私達の暮らしを便利にするIoTが、もしマンションの専有部に導入されたらどうなるでしょう? 最先端IoTデバイスを集結させた日本初のスマートホステル「&AND HOSTEL」で近未来のIoT空間を体験宿泊し、マンション×IoTが切り開く未来を考えてみました。

日本初!近未来のIoT空間を楽しめる宿泊体験施設「&AND HOSTEL」

「&AND HOSTEL」は、クラウドファウンディングMakuakeで資金調達を行ったことでも話題となりました。

天神・博多両方に近い上川端商店街に面した「&AND HOSTEL」。1階はオシャレなカフェ&バースペース。

福岡県・博多にある「&AND HOSTEL」は、最先端IoTデバイス約10種類前後を組み込んだIoT空間が楽しめる体験型宿泊施設です。日本初のスマートホステルとして、2016年夏に誕生しました。
とかく話題のIoTですが、私達の住まいで活用したらどんなことができるのか、実際に暮らしの中で使う体験ができる空間はまだまだ少ないものです。「&AND HOSTEL」は、最先端のIoTデバイス開発を行っている日本の会社が協力して技術開発や実証実験を行い、世界へ日本のIoT技術を発信するプレゼンテーションの場として誕生しました。

マンション・ラボ編集部は、実際に「&AND HOSTEL」の部屋に宿泊して、マンションの専有部にIoTを導入するならどんなものが便利か考えてみることにしました。

【IoT(Internet of Things)】

情報・通信機器だけでなく、身の回りのさまざまなモノに通信機能を持たせてインターネットに接続。情報交換や相互制御を行い、私達の生活をより便利にするものです。

「IoTアプリ」がインストールされた専用端末でチェックイン&チェックアウト

1階でチェックインすると、IoTルーム宿泊者には専用端末が渡されます。端末はルームキー替わりとして、部屋のドアの前で操作してスマートロックを解除できます。

3階建て・全42室のうち、4室がIoTルーム。シャワールームやトイレは共用、他にダブルルームやドミトリーなどもあります。ホステルというと、バックパッカー旅行者専用と思い込みがちですが、「&AND HOSTEL」はおしゃれなインテリアと清潔な雰囲気で満ちていてニュータイプのホステルという感じです。天神・博多・福岡空港に近くアクセスのいい場所にありながら低価格設定なので、海外からの旅行者に人気だというのも頷けます。

スマートロックを解除して入室したのが、こちらのIoTキングルーム。とてもおしゃれです。

→もしマンションの鍵が、タブレットやスマートフォンだったら?

「&AND HOSTEL」では専用端末がスマートロックを解除するキーとして活用されていました。マンションの場合は、オートロックや専有部の扉を解除する鍵として、たとえばマンション専用のスマートロックアプリをふだん使っているスマートフォンやタブレットにインストールして活用できると便利そうです。

横断的IoTプラットフォームだから、室内のIoTデバイス操作がひとつに集約できる

専用端末のメイン画面に6つのメニューボタンが表示され、部屋にあるすべてのIoTデバイスはこれひとつで操作できます。

ベッドの枕元に設置されているロボット「BOCCO」。「BOCCOに聞く」ボタンを押して話しかけると、フロントと音声チャットモードで連絡ができます。

「iRemocon」メニューで、テレビ、エアコン、空気清浄器、照明の操作が可能。Philips社のIoT搭載電球「Hue」を使えば、LED照明はなんと1600万色から好みの色を調光できます。ナイトモードや美肌モードなど多様なカラーモードが用意されています。

テレビ、エアコン、空気清浄器、照明、入眠や起床のための睡眠環境の設定、室内のすべてのIoTデバイスを、ひとつの端末で集約できるのが「&AND HOSTEL」のIoT体験の特徴です。
最近はIoT搭載の家電製品や機器が増えてきましたが、メーカーが異なる製品を操作するためには個々のアプリやリモコンが必要となってきます。IoTで便利になったのに、部屋中がリモコンだらけでどれがどれだかわからない!なんていう笑えない状況に陥る可能性だってあります。IoTの開発が進んでいけばいくほど、各メーカーで「&AND HOSTEL」のような横断的IoTプラットフォームを共通化するなど、しっかりしたルール作りを行う必要性を感じました。そんなことを知るためにも、IoTルーム体験は役立ちますね。

→もしマンションの部屋すべてのIoTデバイスをひとつの端末で操作できたら?

IoTだけでなく、すでに複数の電化製品や端末のリモコンで溢れている人もいるはず。マンションの部屋で使用するすべてのIoTサービスやデバイスが、ひとつの端末やリモコンに集約して操作できることは急務かもしれません。

ライブビューで部屋から1階のカフェの混み具合をチェック

1階のカフェには店内カメラがセットされていて、室内からカフェの混み具合をチェックして下りていくことができます。

「&AND HOSTEL」で1階の状況チェックに使われているネットワークセンサーカメラは、表情や性別、視線、ジェスチャーなどで状態を認識できる高性能なものです。その結果を、スマートフォンやタブレットに送信することができるので、ホステル以外の用途では見守りカメラとして活用することができるそうです。

→もしマンションに見守りカメラがあったら?

高齢のご両親から遠く離れて住んでいる成人したお子さんが、ご両親のマンションの部屋に見守りカメラを付ければ、日頃の生活状態をチェックすることができるはず。また留守中のペットの見守りにも役立ちそうですね。

「&AND HOSTEL」は、日本のIoTの実証実験の場

(株)FREE SPIRIT JAPAN 取締役COO 柴田大輔さん

「&AND HOSTEL」は、太陽光発電システム事業を行う(株)BIJ、アプリ事業を行うand factory(株)、旅行代理店業などを行う(株)FREE SPIRIT JAPANの3社によって企画・運営されています。(株)FREE SPIRIT JAPAN 取締役COO 柴田大輔さんにお話を伺いました。

——「&AND HOSTEL」はまさにIoT実験の場であると感じました。IoT技術を提供している会社何社くらいあるのでしょうか?

柴田さん
「現在SONY、オムロンをはじめとした日本の企業12社、九州大学、NPO法人と産学連携して横断的なIoTアプリの開発を行っています。IoT分野では、今後2020年までに全世界で約500億、国内で約27.5億ものデバイスがネットにつながると予想されています。活況を予想されている分野でありながら、実際に体験できる場はそう多くありません。我々は、ここで、宿泊客には旅の思い出としてIoT体験ができ、企業にはIoTデバイスの実証実験の場として活用していただきたいと考えています」

——IoTデバイス開発メーカーにとっては願ってもない実証の場ですが、宿泊客にとってはどんなメリットがあるのでしょうか?

柴田さん
「2020年までに訪日観光客は4000万人を突破すると言われています。福岡はいまアジアの玄関口として訪日観光客の増加が著しく、ホテルの稼働率が高い人気エリアです。
この注目のエリアで、宿泊体験自体が観光資源となる施設として日本の最先端IoT技術を世界に認知普及していきたいと考えています。たとえばハンズフリーの透過式メガネ「SmartEyeglass」に近辺の福岡観光名所や歴史情報をAR表示し、ホステル内だけでなく外にもIoT技術を持ち出して、さらに観光体験を深められる仕組みづくりを提供しています」

2階のコモンスペース。宿泊した早朝、外国人女性が朝食を摂りながらネットで観光情報を調べていました。「SmartEyeglass」が街のどこでもWi−Fiにつながって、コンテンツが拡充すれば、観光情報もその場で直感的に入手できるようになるのでしょうね。

IoT技術がどんどん進んでいけば、AR(拡張現実)技術や位置情報技術などにより、さらに観光体験を深めて、他では得られない旅の思い出づくりも可能です。
マンションであれば、住民にとって便利な、近隣の買い物・公共施設・リラックスポイントなどの街情報が入手できるといいですね。IoT技術によって快適で楽しい生活を実現できる未来が、もうすぐそこに来ているのかもしれません。

アプリ統合されたその先に待つマンション生活

今回の&AND HOSTELの取り組みについて、マンションのIoT商品企画を行う専門家の視点から、(株)つなぐネットコミュニケーションズ事業推進本部 商品企画室 室長 桂 明伸氏に伺いました。

桂氏
「&AND HOSTELは、IoTデバイス毎に操作するアプリが異なる不便さを、統合的に操作できるアプリを開発し解消しようとされた例です。
個々のIoTデバイスを制御する仕組みが異なるため、チャレンジングな取り組みだと感じました。
IoTデバイスや家電等を統合的に管理する仕組みは、海外では、AppleやGoogleなどが検討している他、日本でもエコーネットコンソーシアムが策定した「ECHONET Lite」、Yahoo! JAPANが提供している「myThings」などがあります。

また「BOCCO」のような、人とコミュニケーションするロボットの販売が始まっており、こうしたロボットとIoTデバイスが住戸へ導入されると、ロボットへ口頭で指示をすることで家電を制御したり、不在時に自宅で発生した事象、たとえば宅配便が届いたとか、不在時に来客があったなどを容易に知ることができるかもしれません。ロボットが各住戸専用のコンシェルジュとして活躍する、そんな生活が近い将来始まるかもしれません。

最後に、IoTデバイスの普及により便利で快適な生活に期待する一方で、セキュリティ対策の重要性も高まっていると考えており、安心してご利用いただける仕組みづくりが重要です」


国内外から人が集うIoT宿泊体験施設からユーザー情報のフィードバックを得ることは、開発メーカーにとっても大きな力になります。そのデータが今後のIoT開発の推進に役立つことでしょう。これからのマンション分野でも、画期的なIoTマンションが登場するかもしれません。大いに期待したいところです。

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&AND HOSTEL

近未来のIoT空間を楽しめる体験型宿泊施設。日本初のスマートホステルとして、最先端IoTデバイスを組み込んだ客室やダイニングカフェを利用できます。
https://andhostel.jp/(外部サイト)

2017/01/30

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