駅近100平米の中古マンションをリノベーション!~間取り事例とコストの掛け方~

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「駅近で広さも十分、間取り以外の条件は理想通りだけど……」そんな悩みを解決してくれるのがリノベーション。思い描いた家をなるべく安く手に入れようと中古マンションを購入し、リノベーションをする人が増えています。
限られた予算の中で、「こだわるポイント」と「こだわらないポイント」をバランスよく取り込んだリノベーションで、理想の部屋づくりをした土井里恵さんのお宅をご紹介します。設計したのは土井さんの夫であり、建築士事務所「SOUP DESIGN Architecture」(外部リンク)の代表を務める土井伸朗さん。プロの知識を生かした方法に注目です。

【取材者・住環境紹介】

対象者:土井里恵さん(40歳代)
家族構成:夫婦、息子12歳、娘7歳
築年数:1981年3月竣工
購入:2009年10月
転居:2010年1月
工期:2か月
広さ:91・08㎡
間取り:2LDK
階数:5階建ての5階
リノベーション費用:約1300万円(DIY施工費・設計監理費除く)

間取り問題はリノベーションで解決!

これまで古い賃貸戸建てに住んでいた土井さん一家は、「自分の家」を手に入れたいと不動産巡りをスタートさせました。「駅に近くて広いリビングが確保できること」が、物件選びで絶対に譲れない条件。理想の戸建てを建築することも考えましたが、「無理をしてローンを組んで縛られるよりも、子どもが巣立ったら住み替えを考えるくらいの気持ちで不動産を持ちたいね」と夫婦で意見が一致しました。
そうなると、注文住宅よりも、中古マンションをリノベーションする方が予算的にも現実的なことから、100平米近い広さがあるマンションを探し始めました。そして、出会ったのが今の物件でした。

駅から徒歩5分で幹線道路のすぐそばに立ち、そばに視界を遮る建物が無く環境は理想的。窓が多く自然光の差し込む明るい室内はとても気持ちが良く、同階に1世帯しかないのでプライベート感のあるものでした。
難点は必要以上に広いトイレや仕切りのない広い部屋、それにダイニングがリビングから離れていることでした。けれども逆に「リノベーションのしがいがある!」とすっかり気に入り、購入を決めました。

リノベーション構想――玄関の脇にシュークローゼット・納戸・収納棚を設置。廊下の突き当りにバスルーム、廊下を境に左に進むと広いリビングとその奥に夫婦の寝室、右に進むと子ども部屋。プロの知識が光る設計です。

リノベーション構想――玄関の脇にシュークローゼット・納戸・収納棚を設置。廊下の突き当りにバスルーム、廊下を境に左に進むと広いリビングとその奥に夫婦の寝室、右に進むと子ども部屋。プロの知識が光る設計です。

コストのメリハリ―こだわり部分はhighコストに!

土井さんたちのリノベーションは、こだわるところはhighコストになっても実行し、その代わりこだわらないと決めたものには工夫や手間をかけることでlowコストになるように努めました。
どんなところをhighコストになってもこだわったのでしょうか?

家族が長い時間を過ごし、お客様が来ることも多いリビングのこだわりは、心地よさのためのスッキリとした広さと、話しながら料理や食事ができること。そこで、リビングでとび出ていた収納庫は取り払い、アイランドキッチンを設けることにし、水回り設備がなかったリビングの床を数センチ上げ、配管を通しました。その際、highコストになっても使用したのが、階下住人と良好な関係を保つための足音対策として、ゴムの付いた高遮音性のある床支持材でした。
さらには、人が集まる所だけに見た目も重視し、仕上げ材には土井さんが一目ぼれした高級資材「アカシア」をセレクト。大柄の木目で濃い目のブラウンには重厚さがあり、落ち着いた雰囲気をつくり出しました。

約20畳の広さのあるリビングは、両サイドに大きな掃き出し窓がついていて開放的。新たに設けたアイランドキッチンは、広い作業スペースがあり子どももお手伝いがしやすくなります。

約20畳の広さのあるリビングは、両サイドに大きな掃き出し窓がついていて開放的。新たに設けたアイランドキッチンは、広い作業スペースがあり子どももお手伝いがしやすくなります。

また、より空間を広げるために、伸朗さんのこだわりの天井ビルトインエアコンを設置し、照明も埋め込み式ライティングダクトレールとダウンライトを取り付け、余計な凹凸を極限までフラットにしました。さらには、リビングの中央付近に床埋め込み式コンセントを設け、ダイニングテーブルでホットプレートなどを使用するのに、スマートに食事を楽しめるようになっています。

(IMG_0408)(左)ライトの数も向きも自由に変えられ使い勝手が良いそうです。(右)掃除機を使う時は、コンセントを差し替えることなく部屋全体をきれいにすることができて重宝しています。

(左)ライトの数も向きも自由に変えられ使い勝手が良いそうです。(右)掃除機を使う時は、コンセントを差し替えることなく部屋全体をきれいにすることができて重宝しています。

マンションではありがちな明り取りの窓の無い玄関回りには、光をもたらすためにあえてお金をかけました。
玄関入って正面突き当りにバスルームを配置し、約80万円(税抜き)もする透明なガラス扉にしました。おかげで、浴槽横にある窓から差し込む光でバスルーム全体が明るくなり、玄関に明かりを取り込むことができました。

廊下と洗面所を仕切るスライドドアを開けておくと、玄関回りにも光が差し込みます。洗面台には大きな三面鏡を設置し空間の広がりを感じられる、気持ちの良い場所を演出しています。

廊下と洗面所を仕切るスライドドアを開けておくと、玄関回りにも光が差し込みます。洗面台には大きな三面鏡を設置し空間の広がりを感じられる、気持ちの良い場所を演出しています。

コストのメリハリ―lowコストに徹するには?

こだわりを実現させるためにhighコストになった分、予算内にリノベーションするにはlowコストに抑えることも必要です。
バスルームは扉にお金をかけたので、バスタブについてはシンプルに、工賃が3割ほど安くなるエプロン(=浴槽の側面をカバーするパネル)無しの据え置きタイプを設置しました。併設する洗面所のボウル下は、広さが取れないため深めの引き出し以外はあえて扉をなくしています。

エプロン部分がないと掃除がしやすく、思わぬメリットでした。

エプロン部分がないと掃除がしやすく、思わぬメリットでした。

扉で隠せる部分や家族専用エリアに関しては、とことんlowコストにしました。
子ども部屋は「快適な部屋にして、出てこなくなってしまうと困るので」とあえて扉を設置しなかったのですが結果的に扉1枚分で5万円ほどコスト減となりました。
収納の量や使い勝手は、実際に暮らしていかないと分からない部分です。夫婦の寝室や玄関そばの作り付け収納は最低限にしました。寝室では、寝具や衣装ケースは壁側に寄せ、天井まできっちりの高さの本棚を置いてはさみ、カーテンレールを取り付け目隠しをして押入れ代わりにしています。

出入り口の正面に本棚を設置したので、ベッドの目隠しにもなっています。

出入り口の正面に本棚を設置したので、ベッドの目隠しにもなっています。

そして、「壁塗り」にlowコストのための秘密がありました。リビングやバスルーム、子供部屋の壁や天井は、広さを演出するため白一色にし、色塗りが難しい一部のエリアを除いて里恵さんがコツコツと作業をしました。「赤ちゃんだった娘をおんぶしながら、私が壁を塗ったんですよ」と話す里恵さんは、養生をしてベニヤ材に3回ほど重ね塗りをし、予算を抑えるのに貢献しました。
その他、掃き出し窓や食洗機や水道の蛇口も、コストダウンのため既存のものをそのまま使っています。

理想の住まい―ポイントは“抜け感”

土井さんのリノベーションしたこだわりのリビングには、みんなが同じ空気を感じながら、それぞれに好きなコトがのびのびとできる心地よさがあります。それは、徹底的にこだわった「視界や空間の抜け感」のおかげです。窓の無い玄関は、バスルームを透明の扉にしたことで「玄関に光が抜け」、明るさをもたらしていました。
そして、工夫や手間をかけ「コストの無駄を抜いた」リノベーションは、予算内でセンスの良い部屋を完成させました。どれも絶妙な“抜け感”がポイントのようでした。
限られた条件の中で「理想の住まい」を築くという楽しさ―これもリノベーションの醍醐味なのかもしれません。
※土井さんのリノベーション事例はこちらからもご覧いただけます
http://soupdesign.jp/dr/(外部リンク)

(文:Loco共感編集部 篠宮悠子)

2016/12/05

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