みさと団地のコミュニティ活動に学ぶ、マンション内の新コミュニケーション“小商い”の可能性

埼玉県・みさと団地内「みさとのおみせmi*akinai」

埼玉県・みさと団地内「みさとのおみせmi*akinai」

埼玉県のみさと団地でスタートした、コミュニティ活動拠点「みさとのおみせ mi*akinai(みあきない)」での“小商い”の実験を起点に、新時代の集合住宅のコミュニケーションを考えてみたいと思います。

作り手と買い手の気持ちが通じ合う、小さな経済“小商い”の可能性

地域通貨、小さな経済、コミュニティ経済という考え方が注目されています。その根底には、地域での小さな規模の商いをコミュニケーションツールとして活用していこうという狙いがあります。
たとえば、地域の誰かが一生懸命作った物を、誰かが気に入って買う。そこから、会話が生まれて、作り手と買い手の気持ちと気持ちが通じ合う。そんな、気持ちのこもった小さな経済活動が、多世代の人を結びつけ、コミュニティを楽しくしていくのではないでしょうか?

今回そんな実験の場として生まれたのが、埼玉県三郷市・みさと団地センターモール内の施設「みさとのおみせ mi*akinai」です。

1973〜1987年に供給された賃貸住宅総戸数6,726戸・賃貸施設82施設のみさと団地は、高島平団地に次ぐ大規模団地です。若者・子育て・高齢者世帯とのミクストコミュニティ形成と活性化のために、さまざまな施策が行われています。団地のロゴがオシャレですね!

1973〜1987年に供給された賃貸住宅総戸数6,726戸・賃貸施設82施設のみさと団地は、高島平団地に次ぐ大規模団地です。若者・子育て・高齢者世帯とのミクストコミュニティ形成と活性化のために、さまざまな施策が行われています。団地のロゴがオシャレですね!

みさと団地センターモール内に生まれた「みさとのおみせ mi*akinai」スペース。「104」と「105」の2つのスペースがあり、カフェ、ショップ(写真右)、読書スペース、レンタルスペース、レンタル展示ボックス、子ども達の遊び場(写真左)として活用できます。

みさと団地センターモール内に生まれた「みさとのおみせ mi*akinai」スペース。「104」と「105」の2つのスペースがあり、カフェ、ショップ(写真右)、読書スペース、レンタルスペース、レンタル展示ボックス、子ども達の遊び場(写真左)として活用できます。

「104」に設置されたレンタル展示ボックス(写真左)の利用料金は、大サイズ5400円、小サイズ3240円。展示商品の売り上げに連動した販売手数料がなくてリーズナブルです。他に、プロ作家さんの作品や地元の店舗のスイーツ、チャリティーグッズ商品なども販売されてます(写真右)。

「104」に設置されたレンタル展示ボックス(写真左)の利用料金は、大サイズ5400円、小サイズ3240円。展示商品の売り上げに連動した販売手数料がなくてリーズナブルです。他に、プロ作家さんの作品や地元の店舗のスイーツ、チャリティーグッズ商品なども販売されてます(写真右)。

レンタルボックスに展示された繊細な木工細工は、70代のおじいちゃんの作品。センターモールの前にある自宅と「mi*akinai」を行き来して展示の準備に忙しかったそう。これまでは趣味で作ってきた作品が、多くの人の目に触れて感想を聞けるのも、作り手にとっては嬉しいこと

レンタルボックスに展示された繊細な木工細工は、70代のおじいちゃんの作品。センターモールの前にある自宅と「mi*akinai」を行き来して展示の準備に忙しかったそう。これまでは趣味で作ってきた作品が、多くの人の目に触れて感想を聞けるのも、作り手にとっては嬉しいことではないでしょうか。

他にも、30〜70代まで幅広い年代の作り手がレンタル展示ボックスを借りて、自分たちのお店を開店しています。

他にも、30〜70代まで幅広い年代の作り手がレンタル展示ボックスを借りて、自分たちのお店を開店しています。

「105」のカフェで楽しめるドリンクやスイーツの大部分は、団地内の店舗との共同開や、団地内や三郷市の店舗から仕入れています。たとえば、コーヒーは三郷市内に焙煎所があるミカドコーヒーから、レモンスカッシュなどのソフトドリンクは団地内の店舗から、写真のチョコレートスコーンは、団地内の店舗と共同開発です。地元のお店と一緒に、街を活性化していこうという仕組み作りがなされているのがいいですね。

「105」のカフェで楽しめるドリンクやスイーツの大部分は、団地内の店舗との共同開や、団地内や三郷市の店舗から仕入れています。たとえば、コーヒーは三郷市内に焙煎所があるミカドコーヒーから、レモンスカッシュなどのソフトドリンクは団地内の店舗から、写真のチョコレートスコーンは、団地内の店舗と共同開発です。地元のお店と一緒に、街を活性化していこうという仕組み作りがなされているのがいいですね。

Handmaidkind(http://happy.ap.teacup.com/kind/)山條千穂さんと建築家の仲俊治さん(http://www.nakastudio.com/)のパネルトーク。

Handmaidkind(外部リンク)山條千穂さんと建築家の仲俊治さん(外部リンク)のパネルトーク。

山條さんの作品くるみの赤ちゃん。プロの手作り作家さんの作品も「mi*akinai」で販売されています。山條さんは、作品を通して人の心を感じることができる物語の喜びについて語ってくださいました。

山條さんの作品くるみの赤ちゃん。プロの手作り作家さんの作品も「mi*akinai」で販売されています。山條さんは、作品を通して人の心を感じることができる物語の喜びについて語ってくださいました。

「104」のインテリアデザインを手がけた建築家の仲俊治さんは、「mi*akinai」のスペースを、ガラス張りで外から何が起こっているのかが見える、オープンな雰囲気を心がけて設計されました。これから、ここに人が関わってコミュニティスペースが完成していくのが楽しみだそう。

「104」のインテリアデザインを手がけた建築家の仲俊治さんは、「mi*akinai」のスペースを、ガラス張りで外から何が起こっているのかが見える、オープンな雰囲気を心がけて設計されました。これから、ここに人が関わってコミュニティスペースが完成していくのが楽しみだそう。

「みさとのおみせ mi*akinai」を企画したHITOTOWAの谷 優香さんは、中学生の女の子が、学校帰りに立ち寄って、一生懸命好きな作品を選んで買って嬉しそうな顔をして身につけていた笑顔が印象的だったと、買い手のエピソードを語ってくださいました。「みさとのおみせ mi*akinai」は、物を売り買いする場だけではなく、人と人との絆をやりとりするスペースとしてゆっくりと育まれていく予感がしますね。

miakinai高齢者から若年層、子育て世帯まで、生き生きと豊かに暮らせるまちづくりを推進するため、ミクストコミュニティ形成をテーマにしたみさと団地センターモール内の施設。

やりがいと喜び、感動を共有する“小商い”の可能性

これまでにマンション・ラボが取材してきたマンションコミュニティでも、住民の手作り作品を販売して、コミュニケーションが広がっている事例がいくつかありました。
少しご紹介してみましょう。

手芸サークルによるグッズ販売

0311_12こちらは、千葉県・ブラウシアの手芸サークルの新1年生用グッズの販売。先輩ママが、お道具袋やティッシュケース、キーホルダーなどを、新学期前のシーズンに合わせて、マンションのエントランスホールで展示販売を行います。手書きの商品説明に作り手の愛情を感じます。

千葉県・ブラウシア:マンションコミュニティ事例!住民も喜ぶブラウシアの「新1年生 親子交流会」とは?

住民アーティストの創作・展示・販売

0409_8千葉県・海浜ニュータウンの団地再生事例。衰退していた美浜団地のショッピングセンターを取り壊して開設された、地域のアート拠点「アートコミュニティ美浜」。団地の自室ではできない住民アーティストの創作アトリエであり、展示・販売ギャラリーです。

千葉県・ちば地域再生リサーチ:NPO×地域住民で団地再生に取り組む!~千葉・海浜ニュータウン10年の歴史~

住民同士の物々交換〜リビングルーム

0509_142現代美術家 北澤潤さんが手がけるアートプロジェクト「リビングルーム北本団地」。北本団地の商店街の空き店舗に、住民の家具や生活道具を集め、物々交換しあうことで、何も無かった空間を『みんなの居間』につくり変えていくというもの。こちらは物々交換という手法ですが、物を介したコミュニケーションが展開しています。

埼玉県・北本団地:団地住民が巻き起こす地域の場づくり~1日限定!商店街に出現したアットホームデパート~

「リビングルーム」の事例は物々交換ですが、お金が介在しないだけで、基本的には他の事例と同じく、物を介したコミュニケーションが生まれています。
「みさとのおみせ mi*akinai」と同様に、作り手と買い手が、集合住宅の住民や地域住民。販売するといっても、利益が目的ではなく、作り手と買い手のコミュニケーションが大きな意味を持つ場づくりです。
作り手は、作品が売れることでやり甲斐を感じ、次の創作意欲にも結びつきます。買い手は、自分の気に入った作品を見つけて、作り手とのコミュニケーションも楽しめます。顔の見える売り買いを体験することで、コミュニケーションが豊かに膨らむのですね。

マンション・ラボが考える、マンション内“小商い”の可能性

マルシェ

マンション内マルシェを地域に開放するのも楽しそう!

「みさとのおみせ mi*akinai」が投げかけた“小商い”の試みは、マンション内で、さらに枠を広げてマンションと地域で、小さな経済が人と人の心を結びつけていくことに役立ちそうです。

たとえば、マンションのエントランスホールや公開空地などの共用スペースを地域に開放して、そこで定期的なマルシェを行うのもいいかもしれません。
シェア農園の収穫物や、手作りの作品を販売する。地域の人同士が会話を楽しみながら買い物をするというのもよさそうです。継続して開催することで、地域に根付き、顔見知りができていくのではないでしょうか。
また、売り上げを管理組合や町内会に寄付して、地域のお祭りや防災・防犯活動に役立てるのもいいかもしれません。もちろん、管理組合が行う経済活動については、クリアするべき課題はあるかもしれませんが、やってみる価値は十分ある気がします。

“小商い”は、人と人とが知り合い、ふれあうきっかけ作りの種をまいてくれるはずです。マンションのイベントでやってみる価値はありそうです。皆さんはどう感じましたか?

2016/11/23

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