経験者に聞く! 自宅マンションを賃貸に出すメリット・デメリット

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念願のマイホームであるマンションを購入したものの、突然の転勤などで自宅マンションに住み続けられなくなることがあります。
「いつか戻ってくるかもしれないから売りたくない。でも、空き家にしておくのはもったいない・・・かといって賃貸に出すのも不安」という人も多いのではないでしょうか。
そこで、実際に自宅マンションを賃貸に出している方に、賃貸経営の注意点や大変だったことなどを聞いてみました。

【取材者・賃貸物件情報】

H.Yさん
家族構成:夫婦、息子(幼稚園年少)、娘(1歳10ヶ月)
賃貸に出している自宅マンション:3LDK、約90平米、築6年、11階(12階建て)
賃貸に出すまでの経緯:2011年に名古屋で上記マンションを新築で購入したものの、2年後の2013年にご主人の突然の転勤により東京へ。2014年3月から自宅マンションの賃貸を始める。これまでの賃貸契約:1回目=2014年3月から約1年間、2回目=2015年7月から現在継続中。

なぜ自宅マンションを賃貸に出すことにしたの?

転勤族のHさんは、マンション購入の際から将来的に賃貸に出すことも考えていました。ですから購入物件には、借り手が付きやすいようにと、駅から徒歩5分ながらも静かな住宅街で人気の学区内に位置するマンションを選びました。
しかし、予想外に早い転勤辞令に、まだ新しく愛着も出てきた自宅マンションを他人に貸すことに初めは戸惑ったそうです。それでも、「たとえ貸さなくても物件が痛むことは避けられないし、賃貸に出して多少痛みが出ても家賃収入が見込める方が良い」と判断。賃貸オーナーを一度経験してみたいという気持ちも手伝って、自宅を賃貸に出すことを決意しました。

マンション選びで迷った際、最終的に購入の決め手となったベランダからの夜景。

マンション選びで迷った際、最終的に購入の決め手となったベランダからの夜景。

賃貸経営はお得? 気になるお金の話

それでは、実際どれくらいの収入が見込めるのでしょうか。Hさんのマンションを賃貸に出した収支は、おおむね以下の通り。

(収入)
・家賃収入:約16万円/月
・敷金・礼金:それぞれ家賃の2ヶ月分

(支出)
・住宅ローン返済金額:約7万円/月
・管理費修繕積立金(駐車場代含む):約3万円/月
・契約時の仲介手数料(賃料の約1ヶ月分)
・契約時のリフォーム費用(10万円〜)、一時的な修繕費
・物件までの交通費(初回契約時での物件立ち会いや諸手続のため)
・各種税金(賃貸料収入にかかる所得税など)

月額ベースだと利益が出ているように見えますが、こまごまとした支出も多く、契約にかかる手続や管理の手間なども考えると、手元に残るお金はそれほど多くありません。それでも、家賃収入を他に当てられるため、家計の負担は随分減ります。
仮に賃貸に出さず空き家にした場合、人が住まない部屋は痛むため定期的な換気や通水が必要です。Hさんのように物件が遠方にあると、それらを業者に委託することになり、月々8,000円ほどの空室管理料が発生することも考慮に入れなくてはなりません。

Hさんの物件はもともとモデルルームで家具付き販売されていたもの。引っ越しで不要となった家具は部屋に残したまま賃貸に出しました。

Hさんの物件はもともとモデルルームで家具付き販売されていたもの。引っ越しで不要となった家具は部屋に残したまま賃貸に出しました。

貸し出した家を帰りたい時に戻せる? 定期借家契約は一長一短

自宅マンションを貸し出す際の大きな心配事の一つは、将来自宅に戻りたいタイミングでまた住むことができるかどうかです。
そこで、定期借家契約(※)を利用する方法がありますが、定期借家条件のついた物件は借り手が見つかりにくいため、相場の2〜3割ほど家賃を下げなければいけない場合もあります。Hさんの場合、最初の契約で定期借家4年という条件を付けながらも運良く家賃を下げることなく借り手が見つかったのですが、1年ほどで退去してしまいました。
安定した家賃収入を得るためには、一定期間継続して住んでもらう必要があるため、Hさんは次の契約では定期借家をつけない代わりに、法人との賃貸契約に限定しました。法人契約では、賃料未払いのリスクが低く、長期間に渡って住み続ける可能性も少ないというメリットがあるためです。

※定期借家・・・通常の賃貸契約では正当な事由がない限り、貸主側から契約を終了させ物件の明け渡しを要求することはできない。定期借家契約であれば、あらかじめ設定した契約期間が終了した時点で確実に明け渡しを受けることができる。

仲介不動産会社はどう選ぶ? 付き合い方のポイント

賃貸契約の仲介などを行ってくれる不動産会社は、仲介業務の形態や物件管理をどこまで委託するかなどによってさまざまですので、自分に合った会社を選ぶことが重要です。
その上で、不動産会社との付き合い方において、Hさんが実際に注意していたのは以下の点です。

・繁忙期となる引っ越しシーズン(1〜3月、9〜10月)前に仲介依頼をしておく。(繁忙期に入ると後回しにされてしまうことも)
・担当者と頻繁にコミュニケーションをとり、物件の仲介を積極的に行ってもらえるよう促す。

不動産会社に渡す自宅物件紹介用の写真は映りの良い物を! 積極的に仲介してもらうには最初の印象が肝心です。

不動産会社に渡す自宅物件紹介用の写真は映りの良い物を! 積極的に仲介してもらうには最初の印象が肝心です。

デメリットも多い賃貸経営。情報収集やマネープランは綿密に!

自宅マンションを賃貸に出す大きなメリットとして、家賃収入という不労所得が得られることが上げられる反面、家賃の滞納や借主とのトラブルなどデメリットも数多く存在します。Hさんは今のところ大きなトラブルに直面したことはありませんが、「リビングの扉が壊れたから修理してほしい」というような、借主からの依頼に対応する場面もありました。また、定期借家の条件を付けなかったため、万一早期に名古屋に戻ることになった場合に、自宅マンションに住めないかもしれないというリスクも感じています。

お風呂やキッチンなどの水回りは、使用すればどうしても他の部屋と比べ、汚れが蓄積してしまうもの。賃貸にすることで汚れることは覚悟しなくてはいけませんね。

お風呂やキッチンなどの水回りは、使用すればどうしても他の部屋と比べ、汚れが蓄積してしまうもの。賃貸にすることで汚れることは覚悟しなくてはいけませんね。

それでも、「自宅を賃貸に出して良かった」とHさん。賃貸市場に自宅マンションを出すことで、自分が購入した物件の価値を客観的に判断できるようになり、必然的に資産運用の勉強をすることで老後のライフプランへの考え方も広がりました。愛着や思い入れのある自宅マンションを他人に貸すというのは勇気のいることです。
けれども、しっかりと情報を収集し、収支の確認や貸し出す期間といった将来的な見通しなどについてきちんと計画を立てれば、自宅を賃貸に出すのも有用な資産運用の一つの手段となるのかもしれません。

文:松本可暖(Loco共感編集部)

2016/11/11

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