あなたの防災備蓄品、災害時に本当に役立つのか?~子どものいる家庭で試してみました~

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時間や場所を選ばずに、突然やってくる災害。防災訓練は学校や自治体などでは、定期的に行われている訓練ですが、もし、自宅にいる時に大きな地震がきたら……。
子どもがいる家庭で必要な備えとは、どのようなものなのでしょうか?夏休み直前子どもが小学校から、賞味期限まで1か月を切った非常食セットを持って帰ったのをきっかけに、災害時を想定して防災備蓄品を使って過ごした家庭があると聞き、その時の様子を伺ってきました。

自宅マンションでライフラインがストップ!と想定

Nさんは東京都区部の築17年の5階建てマンションの最上階に、夫婦、小学3年生の娘と幼稚園年少の息子の4人で住んでいます。東日本大震災時に東京で、震度5の地震を経験し恐怖心を覚えました。その時から子どもには、災害時にできるだけ自分で考え、身を守れるようになってほしいと思うようになりました。

今回Nさんは、自宅マンション内で10時に地震が発生し、ライフラインがストップしたと想定し、1日を過ごしました。

設定した条件

・電気・ガス・水道は使わない。
・昼食と夕食は非常食を食べる。おやつはなし。
・防災バッグの中のもので過ごす。

防災バッグは、子どもが出せる玄関横のクローゼットに収納し、備蓄品も用意して日ごろから災害には備えていたつもりでしたが、実際にやってみるとさまざまな問題が出てきました。

備えたつもりではわからなかった不都合

(1)備蓄品不足

備えていた非常食の量では少なかった。非常食を発熱剤の入った袋で温めたら、高温で容器のままでは食べられなかった。取り皿がなく、食べにくかった。

高温注意!非常食を発熱剤で加熱

高温注意!非常食を発熱剤で加熱

(2)灯り不足

手動式懐中電灯は、ボタンをカチカチと連続して押すことで、点灯する仕組み。操作で片手がふさがり、作業中の使用には不向きでした。アロマキャンドルは、炎が小さく明るさが不十分でした。

手動式懐中電灯は、電池が無くても使えるのは便利。(左)左側にあるグレー色の三角のボタンで操作。

手動式懐中電灯は、電池が無くても使えるのは便利。(左)左側にあるグレー色の三角のボタンで操作。

(3)不便なトイレ

簡易トイレは、ペットのトイレシートのようなタイプを用意していましたが、夏場で臭いが気になって使わず、通常のトイレで風呂の残り湯で流すことにしました。残り湯を洗面器で運ぶ途中で溢したり、流し入れる勢いが足りず1回で流れなかったりと苦戦。

袋の底が吸水シートになっている簡易トイレ。備えとしてはコンパクト

袋の底が吸水シートになっている簡易トイレ。備えとしてはコンパクト

(4)持て余す時間

災害時、マンションの住人は基本的に自宅待機となっていますが、訓練では避難所生活も想定し限られた空間で、本を除く全てのおもちゃを使用禁止にしました。日頃、走り回ったりおもちゃを部屋全体に広げて遊んだりと、元気いっぱいの幼稚園児には、テレビもない時間を持て余していました。

なんとなく揃えていた物や考えていたことが、実際やってみると「こんなにも不都合があるのだなぁ」とNさんたちは感じました。

試して話してみよう!災害時の備え

マンションは戸建てと異なり、収納も少なく備蓄できる物の量が限られます。家庭に合った適切なものを備えることが重要です。今回やってみて、Nさん家族は備蓄品を見直しました。

※青字が訓練後の変更箇所

※青字が訓練後の変更箇所

Nさんのテラスには、避難はしごが設置されていなく隣戸のテラスにあります。火災発生などで玄関から逃げられない場合、隣戸との仕切りを蹴破らなくてはいけません。災害時には助け合いが必要。日頃からあいさつを交わし、住民同士が「顔見知り」になっておくことも大事なようです。
このマンションは通常でも使える階段が、避難路になっています。子どもたちは、時々階段を使っているとか。日常に使用していると、いざという時にちゅうちょなく使えそうですね。

場所を子どもと確認。仕切り前には荷物は置きません。

場所を子どもと確認。仕切り前には荷物は置きません。

また、災害時は学校に避難することも検討しています。子どもたちは他の子どもと居る方がリフレッシュできますし、情報が入りやすいというメリットもあるからです。

子どもたちに訓練の感想を聞くと「トイレが大変だった」「おなか空いた」「暇だった」と不満が次々と……。
しかし、最後にNさんの娘が一言。
「でも、本当に地震がきたら我慢しなくちゃいけないから、練習したんだよね。それに、いっぱい買わなきゃいけない物があるってわかって良かったよね。やってみないとわからないね」

Nさんの娘が書いた備蓄品追加リスト。子どもにも心構えができそう。

Nさんの娘が書いた備蓄品追加リスト。子どもにも心構えができそう。

いつ起こるかわからない災害。備蓄品を“実際に使ってみる”ことが、一番の「備え」になりそうです。

また、今回の防災訓練の結果を、防災専門家の国崎信江先生にレビューしてもらいました。専門家の視点を踏まえて、各自が家庭の防災対策を見直してみるといいですね。
家庭でできる防災訓練、マンション内被災生活をしてみよう

(文:Loco 共感編集部 藤井晶子)

2016/10/05

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