すぐできる! 阪神淡路大震災の体験者に聞いた「マンション住まいの防災対策」

●TOP

首都直下型の巨大地震が起こる確率も高いと言われている今、日々の防災意識が自分や家族の命を守ることにつながります。
今回は、阪神淡路大震災を震源地近くで体験したH.Aさんに、マンションでの暮らしの中でできる防災対策についてお話をうかがいました。当事者ならではの着眼点は、参考になることばかりでした。

取材者・住環境紹介

H.A.さん
家族構成:夫婦・娘1人(小学1年生)
~マンション情報~
築年月:2011年
居住年数:4年
間取り:3LDK+N 72.08平米
階数:全200戸 8階建ての1階

震災経験を生かし、防災対策はマンション選びの段階からスタート

―阪神淡路大震災発生時、ご実家の戸建ての部屋に居たそうですが、部屋はどんな様子でしたか?

H.Aさん:明け方に発生したので寝ていたのですが、目を開けると部屋が四角なのに、平行四辺形に変形するくらい大きく揺れていました……本当に怖かったです。

―部屋が変形するほどの大きな揺れだったのですね。マンションでは上階になるほど揺れが強いと言いますが、今1階にお住まいなのもその経験からでしょうか?

H.Aさん:ここなら上層階より揺れが少ないし、道路に面した庭を通じてすぐに外へ逃げられます。停電でエレベーターが止まってしまっても、生活に支障がない1階に住むことは、私にとって絶対条件でした。
また、マンション周辺の道幅が広く、緊急車両の往来に支障がないことや、水害を受けにくい高台に建っていることも購入の決め手となりました。

―防災というと、つい家の中での対策や建物自体の耐震強度に目が行きがちですが、立地についてもしっかりと下調べすることも大事なのですね。

「いつ災害が起こっても大丈夫」な部屋の整え方と備え

「“いざという時”は突然やってくるので、ほぼ何も行動できないと思っていた方がいいです」というH.Aさん。防災のための自衛策ポイントを4つ教えてくれました。

(1)家具の配置

・大地震の揺れは激しく、ブラウン管テレビが横に飛んでくるほどなので、テレビは耐震粘着マットで台に固定し、家具は必要最小限かつ背の低いものを置く。

高い家具が無く、日常でも圧迫感なく過ごせるリビング

高い家具が無く、日常でも圧迫感なく過ごせるリビング

・食器棚や冷蔵庫は、転倒しないように天井との間に突っ張り棒を設置。突っ張り棒は、奥側(壁に近く)に設置すると耐震上効果的だそうです。

冷蔵庫の転倒防止対策。食器棚(左)は、購入時オーダーすれば高さを変えることができたので、転倒してこないように天井ぎりぎりまでのサイズに調整。

冷蔵庫の転倒防止対策。食器棚(左)は、購入時オーダーすれば高さを変えることができたので、転倒してこないように天井ぎりぎりまでのサイズに調整。

(2)収納方法

・高いところには物を置かない。置くとしても、帽子など落ちてもけがをしない軽いものにする。
・図鑑など重いものは、本棚の最下段にしまう。

寝室クローゼット最上段は、帽子以外は物を置いていません。もったいない気もしますが、けがをしないことが一番ですね。

寝室クローゼット最上段は、帽子以外は物を置いていません。もったいない気もしますが、けがをしないことが一番ですね。

(3)寝室に一工夫

・とっさに逃げることが出来ないので、足元には1年中分厚い毛布を置き、揺れを感じたら被って身を守る。
・防災頭巾・ヘルメット・非常用スリッパなどを常備。

非常時の必需品である水は、この他にも、納戸やリビングのすぐ手に届く場所に置いている。

非常時の必需品である水は、この他にも、納戸やリビングのすぐ手に届く場所に置いている。

(4)防災グッズ保管方法

・揺れによりドアが開かないことや、火災で部屋に入れないことを想定し、備蓄品は一カ所にまとめず各部屋に分散して置く。
・備蓄食料は、日常から食べ慣れているレトルトや缶詰を、毎日開け閉めするシンク下に収納。賞味期限が切れる前に食べて新しいものを補充することを繰り返す「ローリングストック法」を用いる。

長期保存の食糧やマスク・薬・マッチ・軍手・ロープなどが入った防災缶は、玄関からすぐ持って出られるように靴箱の隅に置いている。ふたには、各部屋に置いてある備蓄品の状況や消費期限、防災缶の中身が書かれたチェックリストが貼付。

長期保存の食糧やマスク・薬・マッチ・軍手・ロープなどが入った防災缶は、玄関からすぐ持って出られるように靴箱の隅に置いている。ふたには、各部屋に置いてある備蓄品の状況や消費期限、防災缶の中身が書かれたチェックリストが貼付。

選んで良かったマンション 防災対策でメリットも!

―このマンションでは、どんな防災対策がされていますか?

H.Aさん:居住者用防災備蓄庫には飲料水や簡易トイレのほか、担架、発電機などが備えています。また、停電時でも飲料提供可能な「非常時ライフラインベンダー」、エントランスにはAEDが設置されていて、個人で揃えることが難しいものが用意できるのは、マンションならではですよね。

マンション内に設置している自動販売機は非常時ライフラインベンダーになり、無料で収容飲料が得られます。自動販売機の会社は備蓄倉庫の飲料水を無償で定期交換してくれます。

マンション内に設置している自動販売機は非常時ライフラインベンダーになり、無料で収容飲料が得られます。自動販売機の会社は備蓄倉庫の飲料水を無償で定期交換してくれます。

―個人では準備できないものがあるのは助かりますね。マンションの防災訓練などはありますか?

H.Aさん:はい、年に1度、管理組合主催で行い、住民が防災意識を共有する機会があります。参加必須ではないですがエントランスで訓練をしているので、それを横目に遊びに行くのはちょっと気がひけますね。訓練では出火元の設定を毎回変えて行われ、階段を使ってマンション外まで非難します。AEDの使い方や備蓄庫の確認もします。
時が経つにつれ、実際に被災した私でも恐怖が薄れてしまいます。定期的に災害について考えるきっかけをくれるのでありがたいです。


このマンションでは、管理組合が防災対策を積極的に行うので、居住者の防災意識も高いそうです。それが、震災時に助け合いが必要となる近隣住人との関係づくりにも一役買ってくれていて、H.Aさんは思わぬメリットだったようです。

「いつ災害が起きてもいいように、防災を意識し続けることが大切だ」とH.Aさん。つい一カ所にまとめて置きがちな防災グッズを各部屋に分散させるなど、今すぐできることから始めてみたいですね!

文:篠宮悠子(Loco共感編集部)

2016/09/07

プロフィール

↑ page top