近くでつなげたい!働く・住む・子育ての場~都市型“リノベーション”で実現していく、磯村さん家の理想の暮らし~

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都心の仕事場の近くに住む「職住近接」が注目を集めていますが、これから紹介する磯村さんご夫婦も「家族・仕事・地域が近い住居を!」と考え、今の住まいを購入。選んだのは、二子玉川駅近くのフルリノベーションマンション。自分たちの暮らし方に合わせ再リノベーションをして、快適な生活を送っています。
部屋づくりの工夫や、どんなメリットが生まれたかを探りに、磯村さん宅におじゃましてきました。

「地域と人がつながる」を求めて

0621_2磯村歩さん・舞さん夫婦は、3歳の娘のはなちゃんと3人家族。

歩さんは、パーソナルモビリティのデザイン・コンサルティング・調査研究をする会社「グラディエ」を経営。世田谷区の福祉作業所で働く障害のある方たちと、お菓子を企画製造販売するfutacolab(フタコラボ)も運営しています。

2級建築士の資格を持つ舞さんは、歩さんと一緒に「グラディエ」を共同運営しつつ、建築事務所で広報や事務を担当。
「つながりのある暮らし」をテーマに、国内外の情報を配信するウェブマガジン「ユルツナ」の運営や、二子玉川にある地域共生のいえ「いいおかさんちであ・そ・ぼ」での、活動のサポートもしています

地域と人とのつながりを大切にしている2人は、駅に隣接する大型複合施設の全面開業で、「住みたい街・働きたい街」として注目を集める世田谷区二子玉川に、はなちゃんが1歳の時に引っ越してきました。

きっかけは歩さんが、シェアオフィス「co-lab二子玉川」に入居したこと。仕事が二子玉川を中心に拡大し、江東区清澄からの電車通勤の日々の中、住まいと仕事場が徒歩圏内にある方が、「家族・仕事・地域がもっと近くなるはず」と思い、“職住近接”を意識し始めました。
舞さんも、自然が多くのどかな雰囲気を残す二子玉川の環境に魅力を感じ、「子育てするならここ」と感じていたことから、二子玉川駅から徒歩圏内で、住宅環境や値段などの条件と見合う物件探しが始まりました。

リノベーションがつくる暮らしやすさ

条件的にヒットしたのが今の住まい、築36年をフルリノベーションした、54平米(バルコニー込み)3DKのマンションでした。少し手狭な上南向き窓側2部屋は、キッチンと隣接する部屋が壁で仕切られ、閉鎖的で窮屈でした。子どもがのびのびと遊べ、開放的なリビングをイメージしていた磯村さんたちでしたが、物件を諦めるのではなく、「物件の中味を生活スタイルに合わせる=リノベーションする」ことを思いつき、購入を決めました。

磯村さんのリノベーションは……

・2部屋を区切っていた壁を取り払い、3DK⇒2LDKへ。
・バルコニーを見ながら子どもにも目配りできるように、キッチンとリビングの間にカウンターを設け対面式に。
・白が基調でぼんやりしたリビングを、カウンターの1部に黒板塗料を塗って、アクセント付け。はなちゃんのお絵描きスペース兼用。
・カウンターの上に、歩さんデザインのオリジナル吊り棚を設置し、収納スペースの確保。

こうして、家族がいつも心地よく過ごせるための、夫婦のアイデアがたくさん詰まったリノベーションで、“カフェ風リビングダイニング”の完成!

写真左:リノベ物件 壁取り壊し前(3DK)/写真右:壁 取り壊し中(2LDKへ)

写真左:壁取り壊し前(3DK)/写真右:取り壊し中(2LDKへ)

歩さんたちは広さに合わせて、徹底的にダウンサイジングもしました。
「あまり使わないモノに家賃は払いたくない! と、余計なモノを増やさないようにしている」と舞さんは言います。
読まない本は売り、書類はスキャニング。服・食器にいたるまで、必要最低限のモノだけを残し、購入するものはスペースに「入るか?入らないか?」の前提で厳選。はなちゃんにも「いるモノ、いらないモノ」を取捨選択させ、家族でダウンサイジング!“増やさない部屋作り”を心がけています。

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収納棚(IKEA)とデスクの奥行が同じ長さになるよう、時間をかけて品定め。通信販売で見つけ、見事ぴったり収まりました。

事務用品は一か所に収納。モノは必要最低限を使う場所にまとめ、動線よく。

事務用品は一か所に収納。モノは必要最低限を使う場所にまとめ、動線よく。

リノベーション成功のポイントは?

フルリノベーションの物件を再リノベーションするとなると、施工会社を自分たちで探すことになります。物件は壊してみないとわからないことが多く、「自分たちのイメージしていたことが出来ない!」なんてことは多々ありますから、購入時に不動産屋から地域で評判のいい施工会社を紹介してもらうこともおすすめです。

磯村さんの場合、購入時にはフルリノベーションされていた物件だったため、使えるところは残し、リビングの大きな工事のみ施工会社に頼みました。磯村さんの工事費用予算は総額約30万円。内訳として電気工事10万円、大工工事10万円、その他内装工事10万円くらいで考えていました。購入した翌月の前半に施工会社と打ち合わせ、後半の10日間ほどで工事が終了し、その月末には引っ越しました。費用もほぼ予算内で収まったそうです。

「良い施工会社と予算を相談しながら、臨機応変に話し合える関係性をもてるかが、リノベーションを上手に進めるポイントになる」と、舞さんは話します。

吊り棚の設置やオリジナル家具の製作は、歩さんが家族の生活スタイルの変化ともに、その都度作り変え。家具もはなちゃんの成長とともに配置換えがされ、乳児期にすべて隠す収納をしていたカウンター下は、今後は作業台兼用の引き出しを作り、散らばっていた小物をまとめる予定だそうです。住み良さのためのさまざまなアイデアから、小さなリノベーションを更新しています。

天井から吊るした棚は支柱設置だけ施工業者に依頼し、板は東急ハンズで購入し自ら取り付け。こだわりのカフェ風のグラスフック

天井から吊るした棚は支柱設置だけ施工業者に依頼し、板は東急ハンズで購入し自ら取り付け。こだわりのカフェ風のグラスフック

キッチン側から見ると便利な収納棚

キッチン側から見ると便利な収納棚

磯村さん家のアイデア

洗う・干す・しまうは、3歩以内で!

洗面台の右に洗濯機、左にお風呂、廊下を挟んだ真後ろに収納部屋があります。
「洗濯→洗面台で仕分け→お風呂に干す→しまう」この動線を、3歩で出来るように配置しました。この短縮が家事にゆとりを生み、より子どもに目を配る時間が増えました。

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洗濯機の向かい側はお風呂。お風呂の乾燥機を使う大きな洗濯物も、すぐに掛けられます。

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1部屋をウォークインクローゼットに!

将来、はなちゃんの部屋になる予定の1部屋を、家族全員分の服やモノが収納できる、ウォークインクローゼットにし、天井まで余すことなく使っています。子どものモノは、はなちゃんが自分で支度することに関心を持ち始めたこともあり、子供目線の高さに配置。自立への工夫も心がけています。忙しい時には、取り入れた乾いた洗濯物を、かごごととりあえず置いておける場にもなっています。

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家族ごとにラックを用意。左側の白い棚はかつて本棚だったもの。生活スタイルと共に使い方が変わります。

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はなちゃんの保育園グッズは自分で取れる高さに設置。「自分でできる」を大事にします。

廃棄のモノを最大限再利用!

キッチンカウンターは、以前使っていたダイニングテーブル。テレビ台・寝室と部屋の間仕切り・ウォークインクローゼットの棚は、使用しなくなった本棚を解体し、他の廃材と合わせて製作。再利用できるものは最大限に生かします。

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(左)クラフト厚紙の整理棚を裏返して、テレビ台に。(右)昔使っていた白い本棚を解体して、寝室兼仕事部屋の間仕切りに。アイデア豊富で、家内リサイクルはお手のモノ。

“心地よい暮らし”の創出のために

磯村さんたちが目指した「職住近接」は、以前デンマークに在住していた歩さんが、現地のエコビレッジで仕事をした経験が元になっています。そこでは、働く人たちとその家族が集まり、子どもは親の仕事を見て育ちます。大きなコミュニティの多様性を、間近で感じた環境でした。

歩さんは、はなちゃんをシェアオフィス「co-lab二子玉川」によく連れて行きます。一見、仕事とプライベートが一緒になり、気持ちの切り替えが難しいように思えますが、子どもを職場の人に知ってもらうことは、「人の目が届く」という安心にもつながります。
舞さんも、「いいおかさんちであ・そ・ぼ」の活動を通じて地域と密着し、ネットワークができたことで、一人っ子のはなちゃんにとって、安心して暮らせる環境を見出しています。
“職住近接”は、ただ仕事場を近くするだけではなく、家族と地域をつなげる大きな役割を果たしているようです。

――都会に住むからこそ、コンパクトな暮らし。住居空間での生活動線の短縮や、身の回りのモノのダウンサイジングが、住み心地の良さを生む。
――仕事場が近いからこそ、人とのつながりが生まれ、家族団らんと家族の安心が手に入る。

リノベーションによって南と北の窓がつながり、心地よい風が通るようになった磯村さん家。はなちゃんの笑い声が今日も風に乗って多摩川に運ばれ、二子玉川の空にとけこんでいきます。

文:北村愛(Loco共感編集部)

2016/07/05

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