マンション防災対策の勘違い—地震の時にトイレは安全な場所!?

トイレ

マンションや一戸建てで「地震の際にはトイレが一番安全な避難場所だ」という情報を信じている人も少なくないようです。「トイレだけが安全、または危険」ということではないことをお伝えしたいと思います。

「地震の際にはトイレが一番安全な避難場所」という間違った情報が流布した原因

「地震の際にはトイレが一番安全な避難場所だ」とは必ずしも正しい情報ではありません。にも拘わらず、いまでもネットで流布していたり、専門家の意見としてアドバイスされていたりすることが多いようです。

なぜこのような情報が流布しているのでしょう。それは、トイレという狭い面積に柱が4本あるからトイレに逃げ込めば安全という話が由来のようです。関東大震災ではまだ一般の住宅はほとんどが平屋でした。このときに、たまたまトイレで助かったという事例があったのかもしれません。

しかし、最近の被災地における全壊家屋は二階が一階を押しつぶすように崩壊しています。1階のトイレだけしっかり残っていたという事例は見かけません。つまり、「トイレは安全」と頼りにするほど命を守れるシェルターにはなり得ないことがわかります。

下記の兵庫県耐震工学研究センターの「加震実験映像」で、木造住宅加震実験映像の閲覧ができます。

兵庫県耐震工学研究センター(※外部サイト)
加震実験映像【10】木造住宅 -在来軸組構法(2)-(2007年2月)(※外部サイト)

マンションのトイレや浴室は、閉じ込められる可能性が高い

マンションでも、「部屋の中では、トイレが一番倒れてくるものがない安全な場所だ」と勘違いして、避難場所に最適だと考えている方がいらっしゃるようです。間仕切り壁で仕切られているトイレなら、ほかの部屋と比べて壁の強度は同じです。むしろ、窓がないトレイや浴室は、地震で閉じ込められたときに、外部に救援を求める声が届かないなどリスクが高くなります。

トイレの安全神話を鵜呑みにすることなく、日ごろから危険なものが倒れたり落ちてきたりする心配のない、安全な部屋づくりを心がけておくことの方が重要です。

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防災意識が高まり、さまざまな防災情報がネットに溢れています。しかし実は玉石混淆な状態であったり、勝手な思い込みを記述していたりするサイトも数多くあります。皆さんにはぜひ正しい防災知識を身につけて、常に情報の信憑性を考えるようにしていただければと思います。

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2017/09/22

プロフィール

国崎 信江

危機管理アドバイザー。危機管理教育研究所代表。女性として、生活者の視点で防災・防犯・事故防止対策を提唱している。文部科学省地震調査研究推進本部政策委員、防災科学技術委員などを務める。講演活動を中心にテレビや新聞など各メディアでも情報提供を行っているほか、被災地域で継続的な支援活動も行っている。

おもな著書に『大地震対策 あなたと家族を守る安全ガイド : ビジュアル版』(法研)、『震度7から家族を守る家: 防災・減災ハンドブック』(潮出版社)、『マンション・地震に備えた暮らし方 (地震防災の教科書)』(つなぐネットコミュニケーションズ)などがある。


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