災害用トイレはどれが使いやすい? 災害用簡易トイレの使用テスト

万一の災害時に備えて、ご家庭で非常用トイレを備蓄しているご家庭も増えてきました。しかし備蓄するだけで、実はまだ使ったことがないという方も多いのではないでしょうか?

今回は、市販の非常用簡易トイレの吸収性や処理の仕方、使い勝手についてテストしてみました。またそれ以外によく話題にされている猫砂やペットシートについても検証してみました。

マンション内被災生活で非常用トイレを使うケースを想定

もし大地震が起こって、マンションで被災生活をする場合を考えて見ましょう。マンション内の配管が破損していたら、下階に汚水が逆流してくる可能性もあります。

震度5強以上の地震が起こったら、マンションのトイレが危ない?

災害断水時のトイレはお風呂の水で流せるから大丈夫と思っている人が多いようですが、下水道やマンションの配水管が壊れたら、その復旧にはかなりの時間がかかります。マンションのトイレが使えない状態で被災しているあいだ、トイレをどう処理するかが大きな問題になってきます。

しかし、非常用トイレを備蓄しているご家庭でも使用した体験がある方は少ないはず。今回はどんな非常用トイレが理想的なのか、実際にテストしてみました。

市販の非常用トイレ4種類の使用テスト

マンション・ラボ編集部のスタッフが個人的に備蓄していた非常用トイレや私が持ち歩いている非常用トイレを持ち寄って、固まり具合や処理方法についてテストしてみました。

体重や年齢によって異なりますが、成人の一回の正常な尿量は、平均150〜200ml以上、1日の排尿量の正常値の範囲は500~2,000mlとなります。今回は1回分の尿量を280mlで想定してテストしました。

市販の非常用トイレのテスト条件

・1回分の尿として、色づけした水280mlを使用しています。
・主に固まり具合、処理方法、心理的部分についてテストしました。
・テストした場所の制約上、臭いについてのテストはできていません。
・選んだ非常用トイレは、国崎およびマンション・ラボ編集部スタッフが個別に購入していたものから、タイプの異なるものを無作為に選抜しました。ユーザーの意見・感想として参考にしていただければ幸いです。

テストした非常用トイレ4種類

①ポリマーシートタイプ
②粉末凝固剤タイプ
③タブレットタイプ
④吸水パックタイプ

家庭の便器で非常用トイレを使うための下準備

4種類の非常用トイレはどれも、便器にセットすることを前提にしています。実際の便器内には水が貯まっていますので、その水に触れないために、便器カバーに大きなビニール袋をはめ込んでテープ止めしておきます。

便器をカバーしたビニール袋はそのまま外さないで、都度非常用トイレをその上にセットして使用するといいでしょう。これは、災害時に非常用トイレを使う基本形として頭に入れて置いてください。

では、実際に4種類の非常用トイレを試してみましょう。

①ポリマーシートタイプ

【1回の使用方法】

汚物袋1枚+吸水ポリマーシート2枚を使用します。

便器カバー用として、外側に汚物袋をセットします。セットした汚物袋の底にポリマーシートを1枚セットします。

排泄後に上からポリマーシートをもう1枚かぶせてサンドイッチ状にします。

【所感】

便器カバー用の外側にセットする汚物袋まで配慮されている点がよいですね。
ポリマーシートそのものがしっかり吸水してくれるのは嬉しい点ですが、排泄後にシートをかぶせないといけないのが、汚物を見ることになって心理的にちょっと抵抗がありました。
汚物袋1枚で3〜5回使用可能ということで、汚物袋も大きめのサイズになっています。ただビニール袋が大きすぎてゴミが多くなりそうなのが懸念点ですね。

②粉末凝固剤タイプ

【1回の使用方法】

排便収納袋+抗菌性凝固剤(高分子ポリマー)1袋

便座に排便収納袋をセットして排泄後に、粉末凝固剤を振りかけます。

凝固するとこのくらいの感じになります。使用後は自治体指定のゴミ袋などに入れて廃棄します。

【所感】

添付の排便収納袋は、浅めの横長タイプとなっています。浅目ですから排泄物の重さでずれてくるかもしれません。便座からはがれないようにテープ止めしておくとよいでしょう。

①のシートタイプとはちがい、直接ビニール袋に排泄するので、ジョロジョロという排泄音が嫌悪感を増したり跳ねたりするかもしれませんね。凝固剤をかけてから30秒ほどでスピーディに固まりましたので、その部分は安心でした。

③タブレットタイプ

【1回の使用方法】

処理用ビニール袋+タブレット型処理剤1袋(50グラム)

処理用ビニール袋を便器にセットします。

タブレット1袋を入れて排泄します。

排泄後は処理用ビニール袋の口を結んで一般ゴミとして廃棄します。

【所感】

②の袋よりも少し深めの浅型タイプで、黒いビニール袋。黒くて中が見えないビニール袋をセットしていたのはこれだけで、中身が見えない配慮というのは心理的にポイントが高いですね。便器にはめてみて、このビニール袋のサイズ(65センチ×49.5センチ)がいちばん最適だと感じました。
かなり大粒のタブレットを入れるので、排泄物がはねる点が気になりました。泡立ち固まるまでは早く1分ほどで固まりましたが、固まるまでの過程(変化の様子)にやや抵抗を感じました。

④吸水パックタイプ

【1回の使用方法】

ビニール袋の底におむつのような吸水シートが装着されている吸水トイレパック1枚。

便器やバケツにセットしてそのまま使います。

使用後は口を縛って捨てます。1回分の吸収容量は500cc(尿2〜3回分)。

【所感】

これは、私がふだん外出時に携帯しているものです。出先で使う可能性を考えて、簡易的なものですが、凝固剤やシートを投入する手間や、投入する際に排泄物を見る不快感やビニールの内側に触れる心配もないので、実はこれがいちばん処理的に楽でした。購入する前は、凝固剤やシートがあった方がトイレとしては充実していると思っていたのですが、別封になっていると、落としたり紛失した時に困るので、一体型は安心だと思いました。

4タイプの使用後のサイズイメージ

処理袋で1回分の使用後のサイズイメージを並べてみました。

写真向かって右から(1)から(4)となります。ボリューム的には、そう大差はありませんね。

いろいろなタイプの非常用トイレがあるので処理方法をチェックして選びましょう

テストしたように、粉末凝固剤やタブレット、吸水ポリマーシートなど、非常用トイレにもいろいろなタイプがあります。吸水性に関してはどれもそう大差はありませんでしたので、心理的な抵抗感や備蓄の箱サイズなどを考慮して選ぶとよいかと思います。やはり実際に使うとなると、なるべく汚物を見ない・さわらないでスマートに捨てられる処理方法のものがいいですね。

たとえば1週間の被災生活に対応すると考えると、大便と小便とで使い分けするのもひとつの方法です。1日に数回の頻繁な小便は新聞紙などで対応し、大便は凝固剤やポリマーシートを用いるのです。

次に、非常用トイレがない場合、身の回りにあるもので簡易トイレをつくる方法をご紹介します。

次のページ:非常用トイレがない場合の、他の対処方法についても検証

2014/08/11

プロフィール

国崎 信江

危機管理アドバイザー。危機管理教育研究所代表。女性として、生活者の視点で防災・防犯・事故防止対策を提唱している。文部科学省地震調査研究推進本部政策委員、防災科学技術委員などを務める。講演活動を中心にテレビや新聞など各メディアでも情報提供を行っているほか、被災地域で継続的な支援活動も行っている。

おもな著書に『大地震対策 あなたと家族を守る安全ガイド : ビジュアル版』(法研)、『震度7から家族を守る家: 防災・減災ハンドブック』(潮出版社)、『マンション・地震に備えた暮らし方 (地震防災の教科書)』(つなぐネットコミュニケーションズ)などがある。


株式会社危機管理教育研究所

一般社団法人危機管理教育研究所


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