マンションの避難ハッチ(避難はしご)万が一のときに使いこなせますか?

安全性を追求する「避難ハッチ」製造の現場

今回取材にお邪魔した「松本機工株式会社」新潟工場には、避難機器の品質検査などを行う「オリロータワー」も併設されています。

今やマンションライフに欠かせない避難器具ともいえる「避難ハッチ」を体験すべく危機管理研究所代表の国崎信江さんと、向かったのは新潟県の燕市でした。

実はここには「オリロー」ブランドで知られる避難機器メーカー「松本機工株式会社」の新潟工場があります。現地で取材班を出迎えてくれたのは、同社の取締役で新潟工場工場長の松本剛司さんでした。

工場内には実際に使える「避難ハッチ」も設置されています。

取材班はさっそく「避難ハッチ」の製造工場へ。そこには「避難ハッチ」の完成品やパーツはもちろん、はしごの強度を測定するための機器などもずらりと並んでいました。

工場長の松本さんは取材班を案内しながら、「避難ハッチ」の構造や特性をひとつひとつ丁寧に教えてくれます。そこでまず感じたのは「私たちは『避難ハッチ』について、ほとんど何も知らない」ということでした。

左が“スライド式”、右が“パンタグラフ式”の避難はしごです。

たとえば「避難ハッチ」に格納されているはしごの形状も、知らなかったことのひとつ。実はひとくくりに「避難ハッチ」と言っても、内部のはしごの種類はひとつではないのだそうです。

「『避難ハッチ』用はしごの種類は、“スライド式”と“パンタグラフ式”の主に2種類です。“パンタグラフ式”には低コストで格納時のスペースが小さいなどの特徴がありますが、オリローでは使用時の揺れが少なく、階下に障害物があっても安定して使用できる“スライド式”を採用しています」(松本さん)。

強度や揺れ幅など、工場内ではさまざまな検査が行われるそう

「避難ハッチ」には子どもの滑落を防ぐチャイルドロックも設けられていました

はしごの形状はもちろん、強度や素材、塗装、チャイルドロックの仕組みなど、「避難ハッチ」をめぐる同社の安全性への取り組みは、実に細部にまで行き届いていました。「万が一の際に頼られる機器だけに、安全性への妥協は許されない」と松本さんは言います。

ただし、はしごやチャイルドロックの形状、はしごの素材などは、「避難ハッチ」のメーカーや種類によって異なる部分も多いことも事実。

また、避難はしごの向きについても、建物側を見ながら降りる「内向き」や外を見ながら降りる「外向き」、さらに「横向き」など、自治体によって異なる設置ルールが設けられていると言います。

つまり、マンションの「避難ハッチ」を実際に調べたり、使ってみたりしたことがなければ、自分たちがいざという時に頼りにするであろう「避難ハッチ」が、「パンタグラフ式」なのか「スライド式」なのかもわかりませんし、「内向き」で降りるのか、「外向き」で降りるのか分からないということです。

「避難ハッチ」の使い方を教えてくれる松本工場長。

実際に『避難ハッチ』を体験!そこで、見えてきたものとは

さて、続いてはいよいよ「避難ハッチ」を体験! 松本さんに使い方を教えていただいた取材班は、実際の「避難ハッチ」を降りてみることにしました。

実際に使ってみた感想はどうだったのか。結論から言えば同社の「避難ハッチ」は、使い方も思ったより簡単で、特に問題なく降りることができました。

ただし、それはまだまだ元気な取材班(30代)だからかもしれません。実際に「避難ハッチ」を使ってみると、はしごの揺れは予想以上に大きく、少しだけ恐怖感を感じたことも事実。また、はしごを降りる際にどの部分を握れば安定するのか……など、試し試しでないと、なかなかコツが掴めませんでした。

「避難ハッチ」のより良い使い方について話す松本さんと国崎さん

「足の悪いお年寄りや小さな子ども、乳幼児を抱っこした方などが使うことを考えれば、やはり『怖い』と思ってしまうのが自然だと思います。『避難ハッチ』のオプションとして、カラビナとロープを使った命綱などを用意するのも良いのではないでしょうか。

また、お年寄りやお子様の場合、階下の方に下でサポートしてもらうだけで、不安は大きく改善されると思います。避難器具を性格に使用する“自助”はもちろん、『避難ハッチ』使用時の“共助”についても、事前に考えておくべきだと思います」(国崎さん)

安全性については十分な設計がなされている『避難ハッチ』ですが、基本的には非常時における第二、第三の避難経路という位置づけ。

防犯面や設置スペースの問題もあり、ユーザビリティーはあくまでも「非常用設備」としての範囲に留まっています。

だからこそ「避難ハッチ」に頼りすぎない避難方法を考えることや「避難ハッチ」をきちんと使いこなすための訓練をしておくことが、私たちマンション居住者には必要なのかもしれません。

みなさんも、次回の避難訓練の際には、ベランダの「避難ハッチ」を使ってみてはいかがでしょうか?

松本機工株式会社 会社概要

松本機工株式会社
代表取締役社長 平野清治
創業1928年
避難器具「ORIRO(オリロー)」の製造
消防用設備の販売・法定点検業務
本社/東京 営業所/札幌/仙台/新潟/埼玉/横浜/名古屋/大阪/福岡
HP:http://www.oriro.co.jp
Eメール:oriro@oriro.co.jp

2013/07/11

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